シナストリー冥王星と太陽について

クリスマスから年末にかけて
トランジットの太陽と冥王星が合を形成していたせいか、
ふとした瞬間に異次元に足を踏み入れてしまう予感を感じ
漠然とした警戒心を持っていました。

年末はみんな慌しくしている。
自分も周囲の流れに沿って
慌しくしていれば、すぐそばにポッカリ開いた闇に
気づかないでいられる。

けれども、
その中で立ち止まってしまったとき
それは夕暮れ時
横断歩道や橋を渡るとき
地下への階段を下りるとき
トイレをノックするとき
何かの拍子で異次元とのはざまに
スルリと入り込んでしまうことが
あります。

心もとない不安感。
抜け出すまで、注意深く過ごさなければなりません。

上手く説明できませんが、
クリスマスの新月以降、同じような感覚に陥った人は
いないでしょうか。

私の場合は12月27日。池袋へ出たのですが
雑踏の中、意味もなく少し不安になっていました。
だからといって何事もなかったのですが、
この日、本屋で一冊の絵本に出会いました。
エドワード・ゴーリー作　「おぞましい二人」

おぞましい二人

• 作者: エドワード・ゴーリー
• 出版社/メーカー: 河出書房新社
• 発売日: 2004/12/21
• メディア: 単行本

二人の男女が子供を誘拐し、拷問して殺害し荒野に埋めたという
実際の事件が元になっているお話です。

残虐なシーンが描かれているわけではないのですが、
何とも不気味で心が重くなり、底冷えするような読後感でした。
エドワード・ゴーリーは天才なのですね。
この＜おぞましい＞としかいいようがない二人を
他人事と切り離せない。心の奥底に存在する
深い闇を目の当たりにし、ショックを受けてしまうのです。

山羊座でＴ太陽とＴ冥王星が０度の日に
この絵本と出会ったことで、モデルとなった二人のホロスコープと
年末年始、付き合うことになりました。

イアン・ブレイディとマイラ・ヒンドレー

イアン・ブレイディは山羊座新月生まれ。山羊座に4つも天体があります。
この文章を書いている今はちょうど彼の個人満月です。
マイラ・ヒンドレーは太陽と冥王星の合を持つ女性。
彼女の太陽はイアン・ブレディの冥王星と0度。

シナストリーで太陽と冥王星のコンビはよく見かけます。
必ずしも悪い相性というわけではありません。
いちばん多く見かけるのは親子です。
親や家は絶対、という価値観の中では
しっくりとくると思います。
表層の自分を揺さぶられることで、
本音が出たり、どん底を見ることで
眠りから覚めるような作用を持ちます。
冥王星側は太陽に深い影響を与えます。

イアンとマイラの間にはいくつかの強力な配置があります。

イアンの冥王星にマイラの太陽が合。
イアンの火星とマイラのテイルが合・マイラの土星・天王星とＴスクエア
イアンの土星とマイラの金星、海王星とＴスクエア
イアンのテイルにマイラの天王星が合。
イアンの太陽・月にマイラの木星が180度、天王星が調停。
イアンの木星にマイラの冥王星が180度
イアンの火星とマイラの土星が90度

マイラはイアンから愛情を受けていなかったのではと思います。
土星－火星はサディスティックな配置です。
彼女の方で冷たい彼を絶対視してしまう組み合わせがいくつもあります。

不気味だと感じたのはイアンのＨ7図とマイラの出生図のシナストリー

イアンのＨ7図では蟹座の終わりに水星・海王星・冥王星が集まり、
マイラの太陽と合。
Ｈ7図は本人の夢を表しますが、その夢を実現させる力をマイラは持ちます。
水星、海王星、冥王星の合。彼は天才肌だったかもしれません。
殺人も本来は夢の中だけのことだったかもしれないのに、
マイラと出会ったことで不穏なものが流産せず現実化してしまった。
彼女がいなければ、イアンはただの＜イタい人＞に過ぎなかったでしょう。
ＹＯＤではないけれど、二人の星の間に奇妙な二等辺三角形が形成されます。
神の指ならぬ悪魔の指なのでしょうか。
イアンとマイラはナチスに傾倒していたようですが、
ヒトラーは海王星・冥王星の合を持ちます。

どんな星でも冥王星が関わると極限につながりやすくなります。
金星と冥王星が関わると深刻な愛憎劇に巻き込まれやすく
水星と冥王星が関わると洗脳を暗示します。
太陽と冥王星が関わると相手には服従します。
出生図に太陽－冥王星のハードアスペクト持つ人で
父親や夫の負債の影響を受けてしまう方が多いですが、
それは負債というものが、極限体験のように
とつもなくプレッシャーに感じられるからでしょう。

彼らに殺害された子供たちのの冥福を祈ります。

クリスマスの休暇を一緒に祝おうとやってきた
弟を呪術を行ったという理由で虐殺してしまった、
というニュースを目にしました。
日本では平田容疑者が自首しましたね。
知らない方が良かったと思わずには
いられない闇が横たわっています。
でも、確かに存在します。
ギョッとするほどの＜悪＞が
すぐそばに、その裏側に、そして
自分の内面の中に存在しています。

コメント 15

すずさま☆
明けましておめでとうございます。

私はこの年末年始幸せについて
深く考えさせられていました。
色んなところから、ヒントがもたらされ、
ギリギリというか、スレスレというか、
その感じがもしかしたら
すずさんのおっしゃる感じに近いのかな、
と思いました。

あ～、本当に3.11を境に
誰もが価値観を問い直すように
促されているのだなとしみじみ感じた次第です。

私の場合は“夢と現実”“理性と感情”がテーマでした。

“現実”“理性”優勢の世界から
“夢（潜在意識）”“感情”の世界へ。

個人的には、海王星の
影響かと思っていました。

でも、これって、よくよく考えると、
すずさんと根底は同じなのではないでしょうか？

人それぞれもたらされるヒントは違うと思うのですが、
みんな向かっているのではないでしょうか？

今はまだわからない“世界”へ。

素晴らしい光の世界であって欲しいものですが、
影もまた同時に表出する―
今は特に
その怖れに強く感応する危険が高まる時期なのかもしれません。

みんながそれぞれの気づきをシェアしながら、
闇の中にある光を
見出す年であって欲しいですね。

今年もどうぞよろしくお願いします。
by かのん (2012-01-09 14:48) 

こんばんは。はじめまして、ではないです(^^)
質問ですが、この二人の育った家庭環境は幸せなんでしょうか？たぶん平凡ではない気がしますね。
私は暴力願望はありませんが、それに近い人の空気は知っています。
私の月や金星は、両親の金星、土星、冥王星とハードアスペクトなんです。
距離を置いているため、形にならないだけで、ぞっとするような気配をいつも感じてます。
暴力欲は、身近な「弱者」への激しい破壊願望となりがちですよね。
暴力の裏側は多分絶望じゃないかと思います。
誰でも、愛されたい、認められたいという気持ちがあるので、その希望が断たれるとキレてしまうのでしょうね。悲しいことです。
女性の方の冷たさが、彼を追い詰め苛立たせたのではないでしょうか？
by えむ (2012-01-09 23:35) 

☆かのんさん、コメントありがとうございます！

あけましておめでとうございます！
クリスマス新月には冥王星が合、海王星が60度、天王星が90度、
土星が60度、木星が120度など、遠方の星が全てアスペクトを
とっていました。出生図のコンディションによって窓口にする
天体が違うのかもしれないですね。今思えば海王星の影響も
あった気がします。夢の中で「あ、これは夢だ」と気づく感覚や
みんなが寝静まっている夜中に、一人だけ目が覚めてしまった
感覚と似ています。少しだけ次元がずれるのか、
待ち合わせ場所で会えないとか電話がつながらないとか、
道に迷い続けるとか電車の連絡がすごく悪いとか・・・
そんな感じです。でもそんな中、気づきがあるので
かのんさんの感覚と通底しているのかもしれません。
気づきをシェアしながら、光の差す方へ向かっていきたいですね。
今年もどうぞよろしくお願いします☆
by リマーナすず (2012-01-10 19:19) 

☆えむさん、コメントありがとうございます！

イアン・ブレイディはスラム街で私生児として生まれています。
マイラ・ヒンドレーは普通の家庭に育ったとありますが
本当のところはわからないですね。
彼は彼女にとって絶対的な存在だったようです。
二人とも抑圧されたものを持っていて、
暴力をはけ口にしたのでしょう。
弱い人たちです。
ご両親が金星、土星、冥王星のセットを持っていて
えむさんの月がハードアスペクトなのですね。
世知辛い厳しさや温情のなさ、絶対服従の強要などが
象意で出ますね。えむさんは神経をすり減らしながら
上手く生き延びてきたのでしょう。
暴力の裏側は絶望というのは、本当にその通りだと思います。

by リマーナすず (2012-01-10 20:46) 

お返事をありがとうございます。　
＞絶対服従を強要。ひしひし感じました。無言の圧力というより狂気。　
＞少しだけ次元がずれるのか、待ち合わせ場所で会えないとか電話がつながらないとか・・・ 。　
よく見た夢です。次元がずれるというより、この世に自分の居場所がない。人と心が通じ合わないから見るんだ、と考えていました。確かに今は、何かの変わり目に立っている予感があります。これから電車に乗って死にに行くような…。「死」というのは象徴的なイメージですが、行き先がわからない。でも、行き先に次元の変化を予感するから「死」なんですね。次の電車に乗り遅れたら、どうなるのか…。「再生」について考えるきっかけになり、とても参考になりました。
by えむ (2012-01-10 21:32) 

ホロスコープは、
私は、マイラのネイタル7室の状態と
彼女の1室に含まれる山羊座にイアンの星が集中しているのに
うなってしまいました。

主導権を握っていたのはイアンのように見えて…。

＞マイラと出会ったことで不穏なものが流産せず現実化してしまった。
彼女がいなければ、イアンはただの＜イタい人＞に過ぎなかったでしょう

まさにそんな気がしますね★

彼は私の欲しいものを持っている
私の全てだわ！

出会ったときの彼女の高揚した声が聞こえてくるような…。

犯したことがことだけに、暗い気持ちになります。

＞二人とも抑圧されたものを持っていて、
暴力をはけ口にしたのでしょう。
弱い人たちです。

木星がお互い異常性を加速度的に発展させたと見ると
こういう時の木星は、
実に残酷で恐ろしい★

木星には善悪は関係ない―

ときに、狂気を帯びた快楽ですら叶えてしまう。

光が明るく眩しいほど、闇は濃く暗い

＞知らない方が良かったと思わずには
いられない闇が横たわっています。
でも、確かに存在します。
ギョッとするほどの＜悪＞が
すぐそばに、その裏側に、そして
自分の内面の中に存在しています

これほどの闇を彼らに投影したのは
他ならぬ私たちなのだと、
認めることが必要ということなのですね。




by かのん (2012-01-10 23:48) 

☆えむさん、コメントありがとうございます！

自分の居場所がない、と感じるのはつらいですね。
１２ハウスに土星や海王星が入り、ハードアスペクトを
持つ場合に、「自分は存在していいのか」という
理由のない居場所のなさを訴える方がいます。
実際、母親が出産か中絶か悩んでた、という話も
聞きます。こういう人は次元と次元の間のひずみに
敏感なのでしょう。
人生は列車の旅のようなものかもしれません。
駅に着くたび、誰かが降りたり乗ってきたり。
同じ車両に乗り合わせたことが奇跡なのでしょう。
本当にどこに向かって走っているのかわからないのですが、
急行列車より各駅停車の方が私は好みかな。
ゆっくり行きたいですね。
by リマーナすず (2012-01-12 13:00) 

☆かのんさん、コメントありがとうございます！

彼らの出生時間がわからず、現地時間で正午の
チャートを出しています。きちんと説明していなくて
すみませんでした。けれどもオポジションというのは
まさにかのんさんがおっしゃるとおりで、
自分の可能性を相手の中に見出し、
二人でいれば欠けるものがない一体感を
感じられることがあります。
「彼は私の全て」
本当にそんな風に思えたでしょうね。
山羊座－蟹座間のオポジションには
私もうなってしまいました。

天体は人間社会のモラルを超えて働きます。
苦しいですが、彼らの闇は私たちの闇だと
認めざるを得ません。

by リマーナすず (2012-01-12 13:14) 

＞彼らの出生時間がわからず、現地時間で正午の
チャートを出しています。

そうだったんですね～。先走りしてしまいました。
フォローありがとうございます。

＞自分の可能性を相手の中に見出し、
二人でいれば欠けるものがない一体感を
感じられることがあります。

それぞれパーソナル天体を含む蟹座と山羊座への星の集中★
情過多の女と
理念（この場合はナチスへの傾倒ですが…）に暴走する男。

殺傷への葛藤の少なさが彼らの犯行を支えていたと考えられますが、
もともと1星座にパーソナル天体が集中すると
自分の中での矛盾が少ないうえ、男が女に圧倒的な強制力を持ち、さらにお互いに衝動を後押しする星を持っている、となると…。
悪魔の祝福を受けていたとしか言いようがない2人、ということを浮き彫りにしたホロスコープといえますね。

でも、もし、イアンが闇の思想ともいえるナチスへの傾倒ではなく、逆に世の中に光をもたらす信念を持っていたとしたら、、どうなったのでしょうか？
命を引き裂くことではなく、守る事に喜びを見出していたとしたら…。
ホロスコープを見る限りでは、可能性はゼロではないと思うのです。

光と闇、どちらを選ぶことも彼には許されていたはずです。

例えば、厳しい修行を重ね、世の中の浄化のために奔走するお坊さんと彼を支える妻みたいな2人であったら。

善極まって悪をなす、悪極まって善をなす

今はまだ、途方にくれてしまいますが、
救いようのない極悪（闇）からも何か救い（光）を見出したいものです。

何か気づきがあったら、ぜひまた記事にしてくださいませ！



by かのん (2012-01-13 16:14) 

☆かのんさん、コメントありがとうございます！

重いテーマを救い上げてくださって、ありがとうございました。
読んで嫌な気持ちになる人も多いと思い、
ためらったのですが、書いてよかったです。

＞でも、もし、イアンが闇の思想ともいえるナチスへの傾倒ではなく、逆に世＞の中に光をもたらす信念を持っていたとしたら、、
＞どうなったのでしょうか？
＞命を引き裂くことではなく、守る事に喜びを見出していたとしたら…。
＞ホロスコープを見る限りでは、可能性はゼロではないと思うのです。

＞光と闇、どちらを選ぶことも彼には許されていたはずです。

本当にその通りですよね。
私たちは、選べるのだと思います。

人と人との出会いは不思議ですね。
ときに1＋1は2ではなく、
すごい相乗効果を発揮します。
相性でその凄さを見ることが本当に多いです。



by リマーナすず (2012-01-14 08:21) 

おぞましい二人、読みました。幸か不幸か私は、あまりピンとこなかったです。ただ、５歳の時の男性と私は、同じ「芽」を持っていたと思います。物には恵まれてましたが、内面は大変不安定で恐ろしい子供時代でした。でも私の場合は、軽蔑すべき反面教師がいてくれたお陰か、醜さに対する拒否反応があったせいか、イジメや暴力を快楽にする方向には行きませんでした。その反対に、自分にしてほしいことを一生懸命演じる人間に育ったのかも知れません。「残酷な虐め」と「尽くし」どちらも「一人遊び」なのですよね。物語の男性はネグレクトと虐待を経験しているのでしょう。彼は両親から、普通に遊んで欲しかったのではないかな？と思いました。
by えむ (2012-01-25 01:47) 

☆えむさん、コメントありがとうございます！

物語はゴーリーの創作ですが、
モデルになったイアン・ブレイディは
スラム街で育ったようです。

＞「残酷な虐め」と「尽くし」どちらも「一人遊び」なのですよね。

残虐な虐めも、尽くしも、どちらも相手がいることので
「一人遊び」と考えるのは、どこか怖ろしいことのように思えます。
尽くすことに関しては、
「私が自己満足で、一人遊びとしてやっていることだから
感謝や見返りはなくても平気」と達観していられるなら
人生の悩みの半分からはフリーでいられそうです・

＞自分にしてほしいことを一生懸命演じる人間

相手のことを思って、ではなく
自分がしてほしいことを
相手のためという演技のもとに
やっていたということでよいでしょうか。

それとも愛して欲しくて、
愛されるような自分を一生懸命演じていた、
ということでしょうか。
by リマーナすず (2012-01-25 12:41) 

見返りなく快楽や安心を与えたいというのが、本心です。変わらない穏やかさが存在してほしいという願望もあります。今のところそういう愛にあまり会ったことがないので、せめて自分が努力する（「演じる」と言いましたが、）ことでこの世に存在させたい。疑似楽園を作りたいという感じです。私はリアリストな一面もあって、嘘の自分を愛されても満足できないと思いますし、基本的に他人の愛にも、それほど期待していません…。期待しないのも愛ですし。。でも、一度執着すると変わらないところがあり、本気で絶望するとどうなるか分からないので、最初に書いたことと矛盾しますが、自分を楽園に住める人間だとは全く思っていないです(笑)
by えむ (2012-01-25 13:56) 

☆えむさん、コメントありがとうございます！

変わらない穏やかさは存在してほしいですね。
たとえ非常に難しくても
自分がまず第一にその存在になろうと努力する（演じる）
えむさんは、強くで優しい人なのだと思います。
擬似楽園と自嘲していても心の力によって、いつかは限りなく
本当の楽園に近づくのだと信じてます。
えむさんは、もうすでに楽園の住人です。
楽園の創造主だからです。
えむさんの子供の頃にタイムトラベルして
当たり前の子供と同じように
見返りのない愛を与えてあげることができたなら、
楽園にいて当然だと思えるのでしょうね。
そういうことができれば本当にいいのになあと
思わずにいられません。
by リマーナすず (2012-01-28 20:36) 

古い記事ですが、異世界に云々。

そんなことはありません。あったなら病気。

以上です。さようなら。
by ええと (2013-04-21 22:51)