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バイキンタイルについて [ネイタルアスペクト]

今日は、バイキンタイル<Biquintile>について。
バイキンタイルは144度。
キンタイル<Quintile>を2倍にしたアスペクトです。
キンタイルは360度の円を5分割した度数、72度のアスペクトです。

5の象意から、創造欲求、遊び、アイデア、芸術的な才能に関係すると
言われています。144度は72度に2をかけた度数なので
上記の事柄が内面に向きます。
なのでバイキンタイルはキンタイルほど表には出てきません。
隠れた、内向きの衝動だからです。

習字を例にして、このアスペクトの説明をしたいと思います。

長女は小学三年生で習字の授業が始まりました。
先日、保育園時代の友人で別の小学校に進んだ子の母親が
習字の授業について話してくれました。

「今はね、墨をすらないんだって。時間がもったいないから
墨汁なんだって。私たちの頃は墨をすらされたよね。
精神統一とか、そういう意味もあったんじゃないかな」。

へー、今はそうなのだ、と思い
長女に聞いてみました。

「こっちでもそうだよ。墨をすらされたのは最初の授業だけで
あとは墨汁だよ。墨をすってる時間があれば一枚でも多く
書いたほうがいいからって先生が言ってた」。

なるほど。なぜか大昔に読んだ本のことが思い出されました。
「日本瞥見記」 小泉八雲著 です。
小泉八雲が友人(日本人)と子供の書道展を観に行ったときの
エピソードが描かれているのです。

「この書はのびのびしてて好感が持てる」
「こちらの書はユニークで良いなあ」などと
八雲がコメントすると、同行の日本人男性は
「そんな書は下手くそだ、ごらんなさい、
こちらの子の書の方が良いでしょう」と
ことごとく否定するのです。

全くもってようわからん、何それ、どういう基準なわけ?
理解不能である・・・というような
内容でした。うろ覚えですが。
外国の人らしい感想です。
日本人なら子供の習字の上手い下手、お習字を習っている子は
大体わかると思います。
決まりきった見方が出来上がっていているのかもしれません。

習字として表現したいものがキンタイル、
心を落ち着かせて墨をする、正しい姿勢、お手本を写すこと、丁寧であること、など
心構えや内面の状態はバイキンタイルが表します。
内面を磨き、キンタイルの創意工夫をより洗練・成長させるものがバイキンタイルです。
そしてキンタイルとバイキンタイルはHN5の流れで合になるので、
これらは表裏一体の性質を持ちます。
習字だけではなく、全ての物事の上達に共通するはずです。

i.gif
キンタイルのミッドポイントの度数は
外への押し出し&落としこみでアイデアを
具現化させていく能力を指すアスペクト、デシルであり、
内面を磨くという地道なプロセスを指すバイキンタイル144度とは
オポジションの関係であることが興味深いです。

私自身はオーブが0.04という極めてタイトな土星-冥王星のバイキンタイルを
持ちます。ハーモニクスでは一生オーブが崩れることはありません。

HN10図です。
c.gif
出生図の土星-冥王星のバイキンタイルは、
HN10で山羊座5ハウスで合になっています。

いかにも、という出方ですが、
10歳からお茶のお稽古を始め、結婚して実家を離れるまで
約18年間、お稽古に通いました。
母に通うように薦められたのがきっかけです。
全然、興味がなかったけれど
和菓子が食べられるし、友達もいるから通いました。
でもずっと嫌でした。空想、妄想ばかりしている子供だったので
ちっとも上達しませんでした。

15歳くらいから茶の湯は精神修養、禅と関わりが深いということが
理解できてきて、少しだけ楽しくなりましたが
社会人のときがいちばんつらかったです。
夜の9時半ごろ「まだ会社です」って電話しているのに、
「待ってるからいらっしゃい」という先生だったので。

疲れてクタクタだったり、あるいは心配や悩みがあるなど
雑念にまみれていると、それが確実にお点前に出てしまいます。
そうするともう一回、やり直しをさせられてしまう。
面倒くさいなあ、どころではなく、超だるい!憂鬱だなあと
ずっと感じていました。

結婚したとき、「もうお稽古に行かなくて良いんだ」と嬉しかったです。
そんなに嫌なら、なんで辞めなかったの?ということですが
なんででしょう。単に辞め辛かっただけだと思います。
けれど大切な時間と空間を失ったことに
すぐに気づきました。
忙しい毎日の中、無心にお点前することによって
しばしの間、煩雑な日常の意識から離れていられたのです。

茶室は、湯の沸く音、お香、いけばな、掛け軸、作法などで
日常とは聖別された空間を作り出します。
日々の暮らしの中で
そういう時間と空間を持つことは非常に難しいです。

山羊座の土星-冥王星が5ハウスで合、というのは
私にとっては茶道として現れました。
お茶の先生にはなりませんでしたが、
心を整える鍛錬は占星術に生かされているように感じます。

<稽古とは、一より習い十を知り、十よりかえる、もとのその一>とは
利休百首のうちの一首ですが、再新再生、上向きの循環の大切さを歌にしています。
この歌は、バイキンタイル的です。芸を磨く、鍛錬を積むことにおいて、
これで終わりということはありません。

茶道だけではなく全ての分野に当てはまるのだと思います。
むろん占星術の学習についてもそうで、
何度でも基本に立ち返って勉強する必要が生じます。

土星-冥王星というヘビーなコンビを取り上げたので、
なんだか重苦しい話になってしまいましたが、
これが金星-火星とかだともう少しライトな感覚で、
魅力をアピールすることにおいて日々精進、という風に
現れるかもしれません。

絵や音楽、ダンス、武道を長年続けられている方、
神話的、抽象的なイメージを表現しようとしている方に
このアスペクトを多く見かける印象を持っています。

チャートの中のバイキンタイルがあれば、光を当ててみてください。
おそらく自分の創造性を磨く活動は何かを指し示しているはずです。



















不安神経症のチャート②双子座について [ネイタルアスペクト]

前回は双子座20度付近の天体を持つ人について
思考活動が行き過ぎて身体が悲鳴をあげるとき、
神経症を発症しやすい、というお話を記事にしました。
明石家さんまさんが双子座20度付近に水星・金星の合を持ちます。
この度数のテンションの高さ、行き過ぎた感が
イメージしやすいと思います。
さんまさんは神経症ではないですが、
もともと眠りが少なく、クスリがないと眠れないのだとか。

今回は双子座全体について書きたいと思います。
双子座に天体や感受点がなくても
ホロスコープでは双子座が支配する場所を誰もが持つので
自分自身の双子座要素について理解を深めてもらえたらと思います。

流智明氏の「占星学教本」に12サインのメンタリティーの核が
紹介されているので、引用しますね。

牡羊座 I am(私は存在する)
牡牛座 I have(私は所有する)
双子座 I choice(私は選ぶ)
蟹座  I sense (私は感じる)
獅子座 I will (私はする)
乙女座 I analyze(私は分析する)
天秤座 I balance(私は量る)
蠍座  I desire (私は探究する)
射手座 I experiment(私は試す)
山羊座 I use (私は使う)
水瓶座 I solve (私は解く)
魚座  I believe (私は信じる)

双子座のメンタリティーの核は
I choice (私は選ぶ)。
つまり判断し行動を選択するために
知識や情報を吸収しようするサインなのです。
双子座にMCや天体を多く持つ人、
3ハウスが強調されている人は知識や情報を
伝える活動に向かっていきます。

サンプルとして椎名誠氏のチャート
mc.jpg
いつも世界中を元気に旅をし、
永遠の少年といったイメージのシーナさん。
活動の幅広さ、著作の多さから見ても
ワーカホリック気味のようです。
本好きでもあり、<活字中毒者>なのだとか。

双子座に5つの天体は過剰。
出生時間がわからないので
正午で出すと、月は魚座30度。
けれど牡羊座の月という印象も受けます。
もし牡羊座の月なら、地は0、水も0という
非常にエレメンツの偏ったチャートになります。

快活で冒険好きで、いつまでも若々しい人であるという
イメージを持っていたのですが、
エッセイ「かえっていく場所」では
神経を痛めてしまっている彼の状況が描かれています。


まさに双子座的な壊れ方。
感情や身体は疲弊しているのに
思考は暴走し続け、安らぐことがない。
双子座の知性は蟹座に捕まるそのときまで
落ち着くことはできないのです。

藤原新也氏のチャート
sf.jpg
椎名誠氏と誕生日が近いです。
双子座に天体が3つ。
火星と土星の合を持つため、
情報、伝達といった双子座の分野に対して、厳しさを持つ人です。
地のエレメンツは0。

椎名誠氏も藤原新也氏も世界中を旅する写真家、作家、エッセイストです。
獅子座の7度付近に冥王星があるためか、
社会の規格にはまりたがらない世代です。
影響を受けた日本の若者は多いのではないでしょうか。

何でも見てやろうとする好奇心。
そういえば日本のバックパッカーの先駆けと言われている
小田実氏も双子座12度に太陽を持ちますね。

藤原新也氏は魚座の14度に太陽を持ちます。
この付近には不屈の精神を与える
エリダヌス座の恒星ACHERNAR(アケルナル)も
輝いています。
ここに天体を持つ人は業界の裏事情に通じるなど
処世術に長けた頭の良い人が多いです。

自分の弱さを自覚しているため
優位に立とうと、誰よりも頭脳を駆使します。
運命に翻弄されても
ときにはずる賢く知恵を働かせ、生き延びます。
なので、少しあざとさを感じさせる人もいます。
直居先生の「定本サビアン占星学」では
「自分の知恵をほかの人のために提供するところがあり、
かわりに考えてあげる役割なのかもしれない」
と述べられています。

魚座の水星と双子座の天王星のスクエアを持つ
藤原新也氏は耳障りの悪いことも敢えて語る作家なので
好き嫌いの分かれる方だと思います。
私はかなり好きで、先月は池袋コミュニティカレッジでの
講演会も聴きに行きました。

彼自身は神経を病んではいませんが、
現実を目の当たりし鬱になる人を見てきている人です。

「人は情報で病む」と
はっきりおっしゃっていました。

双子座に天王星、土星、火星を持つ彼は
まさに「双子座の鉄人」といって良いと思うので
講演会で彼が語っていた内容をシェアしたいと思います。

■人は情報で病むが、情報と現状の落差があると不安に苛まれるので
 それらがリンクすると落ち着く。
 (彼は震災一週間後に被災地入りし、あまりに凄惨な光景で
  ショックを受けたが実際にこの目で確かめたことで 
 ホッとした心持ちになったともおっしゃっていました)

■いろんな情報が流れるが、情報の食い散らかしはやめる。不安になるだけ。
 山とある情報のなかで正しい情報を掴むには裏をとること。情報と情報をつき合わせ、
 根気よく精査すること。風評を防ぐことにもつながる。

■自分が病気になったとき、それは自分だけの問題ではない。
 必ず他人に転化する。苦しみは必ず誰かと分かち合うことになる。
 なので、自分のためではなく他者のために自分を守る。そのために情報を生かす。
 心身に負荷がかかったとき、どうやって吐き出すか。
 起きてしまった事実を認め、 今後の生き方を真剣に考える。

■日常のセオリーをはずす。違うものの見方をする。

今はいろんな情報が溢れかえっているがゆえに
双子座のI choice(私は、選ぶ)が出来ていない人が多いです。
何を信じ、選択すれば良いかわからなくなり、
判断不能に陥るのです。

これは整体の先生が言っていたことですが

「耳に入れるとホント落ち込んでしまうこともありますが、
 自分や家族のために知っておいた方が良い情報もあります。
 でもあんまり頭で考えすぎないほうがいいですね。
 自分のためになる情報は、身体が知っています。
 スッと腑に落ちるんですよ。」

自分の身体がどう感じるか、直観はどうなのか。
感覚を研ぎ澄ませることでわかることもあるのでは、と感じました。

知ったところでどうしようもない情報もあります。
それでいて、知らなかった頃には戻れません。
知ることで傷つくことは、往々にしてあるものです。
愛するがゆえの嘘や隠しごとも、存在します。
知ることには覚悟が必要な場合があります。

双子座は個人の知性をギリギリまで伸ばそうとします。
知ろう、見てやろう、そして自分こそはどう思考し、どう判断するか。
知ること、思考することを諦めたり放棄したりはしないのです。

子どもには「なんで?なんで?」とうるさいほどに質問してくる時期がありますが、
ホロスコープには双子座が支配する場所、水星のいる場所、3ハウスがありますね。
そこは知的好奇心が働く場所です。学習の場所です。

知りたいことがあれば、安易に人に聞いてすませたりしないで、
どんどん調べていってほしいと思います。
そうすればいろんなことがつながってきて、
ますます面白くなります。
さまざまなことを人は学習します。
それをただの知識で終わらさず、生きた知恵として活かしていけるかどうか。
伝えていけるかどうか。
6月22日に夏至を迎えるまでT太陽は双子座にいますから、
この双子座月間にあれこれ試行錯誤してみたいと思っています。














月-キロンについて [ネイタルアスペクト]

今日はキロンについて

キロンは1977年に発見された小惑星です。
1978年にイギリスで成功した体外受精とも関連づけられています。
2010年のノーベル医学生理学賞は、体外受精の産みの親である
ロバート・エドワーズ博士に授与されたことは記憶に新しいです。
倫理的な問題、宗教観から体外受精の技術はローマ法王庁から
厳しく批判され続けました。
エドワーズ博士は85歳という高齢のため、今回の受賞を
認識できない状態なのだそうです。あまりにも遅すぎたといえます。

占星術においてキロンは傷と癒し、占星術、精神世界、高度医療といった
意味を与えられています。
高度生殖医療は常に批判、偏見にさらされながら発展している分野で、
それも傷を司るキロン的であるといえるでしょう。
キロンが土星(常識)と天王星(ニューサイエンス)の間にあることも
関係していると感じます。

当時は「試験官ベビー」という言葉で
批判されながらも現在までに世界中でおよそ400万人が
この技術のおかげでこの世に生を受けました。
日本でも65人に1人の赤ちゃんが体外受精で誕生しています。
今の50代~20代の人はホロスコープにキロンと天王星の180度を
持っていることに関連しているのではと感じています。
(占星学も常にインチキの謗りや批判にさらされている学問といえます。
石川源晃先生の著書では「キロンは科学的な占星学を表示する天体と考えられている」
と述べられています)

高度生殖医療を試みるカップルのどちらかのチャート、あるいはコンポジットチャートに
このキロンと天王星の180度が5ハウスー11ハウスで形成されている、
あるいは子午線上で形成され、同時に月、金星といった妊娠に関わる天体や
5ハウスの支配星と関わっているというケースを見ることがあります。
高度生殖医療の発展によって子どもを授かることが出来た夫婦も大幅に増えたけれど、
不妊症の人もものすごく増えた感じがあります。
晩婚傾向にあることも、もちろん原因のひとつでしょうが、
決してそれだけではないような気もします。

最近、月とキロンのアスペクトを持つ方が続きました。4人くらい。
みなさん、いちように「動物や小さな子どもの気持ちがわかる」と
言われるのです。実際、保育士など幼児に関わる仕事の人が多いような。
(アルプス形のサンプルで取り上げさせていただいた
動物写真家の星野道夫氏や画家の稲見優卯子さんも月-キロンのコンビを
持っていました)
ある方は「虫の気持ちもわかる!」と仰ったのでおおいにウケました。ナウシカですか。
それで、私の夫もキロンと月の180度を持ちます。
今回はサンプルとして、夫のことを取り上げたいと思います。

「小さい子や動物の気持ちがわかる?」と訊いたところ
「そんなものは、一方的な思い込みに過ぎん!」とバッサリ。
夫は水星-火星のタイトなスクエアを持つせいか、
シニカルなことを言います。
私が見る限りでは、彼は<子どもが好き>というより
<大人が苦手>なのですね。何かの行事や集まりのときは
大人と話すのを避け、子どもたちの相手ばかりしています。

いくつか月-キロンを思わせるエピソードをあげます。

①秋が深まった時期に季節はずれの蚊を見ることがありますね。
「こういうの<哀れ蚊>ちゅうんよ」などといって見逃す。

②初秋のある日、隣家の庭の草刈りをしていた業者の方から、
「お宅のエアコンの室外機のホースにアシナガバチが巣を作ってますよ」
と教えてもらいました。
「アシナガバチは巣を攻撃しなければ人は襲わない。
それにあと1~2週間もすればハチはいなくなるから」と
夫は駆除を頑なに拒否。
隣近所に申し訳ないけれど駆除はしませんので気をつけてください、と
お願いしましたが、洗濯物に紛れ込むこともあるし、刺された場合のアナフィラキーショックも怖いし
心配でした。こういった判断を非常識だと批判する向きもあるでしょう。
ただ本当に急に秋が深まり10日もしない間にハチはいなくなりました。
翌年、ハチはその場所に巣を作りませんでした。

③カタツムリを飼っているのですが、死んでしまった個体を、
「しばらく手元に置いておく。供養したいから」と
箱に入れて仕事部屋に持っていってしまう。そういう感性の持ち主なので
お隣のママの「飼っているザリガニが死んだら、子供がキッチンのゴミ箱に
そのまま捨てる、臭くてたまらない、スーパーの袋を二重にして捨ててと何度もいっているのに」
という話に、「なぜ埋めてやらんのだ」と驚く。

一緒に暮らしているので、そんな話は枚挙にいとまがありません。
ただ<優しい>とか<哀れみ深い>という感覚とは違うようです。
<もののあはれ>という日本人特有の自然観には近い気はしますが。
日本人は古来よりアニミズム思想を持っていたので(失いつつあるけれど)
月-キロンは日本人にとってはアニミズム的な感覚を指すのかもしれません。
外国人はまた少し違うのかも。

テキストには月-キロンのセットは幼児期の心の傷、コンプレックスとあります。
子供の頃は誰でも、自然や環境と一体であったと思います。
たとえば大事にしていたおもちゃやぬいぐるみ、あるいはペットを
親に処分される、こういったことの心の傷も月-キロンの管轄であると感じます。
自分のたましいが入って一部となっているものを切り離される痛み。
小さな動物や虫に、同調する。
自分が蚊でありハチである感覚。猫であり犬である感覚。
こういう感覚を持っていると今は生き難い時代であると思います。
自然に同調しない人も、また増えてきているからです。

世代アスペクトで私たちの多くがキロン-天王星を持つと述べましたが
自然とのつながりによって病む部分が出てくる世代なのでは。
不妊で悩む人が増えていることは、
生態系全体でも繁殖ができない生物が増えているということ。
昔の人は、うさぎの多産、犬の安産にあやかるなど
動物から呪術的なパワーをもらっていました。
そういったことも形骸化しています。
ペットとして飼うためには去勢・避妊手術をすることが一般的で
またそうしなければ生まれてくる命に責任は持てません。
いろんなことが、つながっています。

キロンの象意は傷と癒し。ヒーリングは一体感、同調の意識レベルで起きます。
月-キロンはシャーマンの感性に近く、大きな可能性を秘めているように思えます。

ある人は捨てられた子猫に幼児期の自分を発見するかもしれません。
ある人は植物と心を通じ合わせるでしょう。
このコンビを持つ人がどういう方法でエネルギーを使っていくのか
すごく興味があります。












月を含むYODについて [ネイタルアスペクト]

YODは月やASC/MCを含むと形成されやすいです。
月を含むYODについて、今日は書いてみたいと思います。

月は幼少時を司る天体ですが、月のYODを持つ子どもは
どこか無理をして子どもらしい子どもを演じているような
印象を受けます。
親は子どもに躾けをします。
それは子どもにまっとうな人間としての型をつけるためで、必要性のあることですが
月のYODを持つ子どもは、その個性がどうしても
当たり前の型にはまりきれず、苦労するようです。

生け花で枝にカーブをつける作業を<矯め>といいます。
指の腹で枝を押しながらじんわり温め、少しづつ力を加えて曲げていきます。
ボキッと折れたら失敗。
柳のように少しの力で型がつくものもあれば
桜のように火であぶらないと曲がらないものもあり、
植物によってさまざまです。
人もその人の性質によってさまざまなのだと思います。
ホロスコープでは
ボキッと折れるのがスクエア。
絶対、曲がらないものがオポジション。
そして<矯め>られるのがインコンジャクトです。
相性などでスクエアよりもインコンジャクトが
問題になったりするのは、衝突や対立のように
目立つ現れ方はしないけれど、
自分の本質を曲げて、相手に合わせるので
内面はとても苦しいからです。
インコンジャクトは訓練、妥協、調整、矯正を
意味しますが、これがYODとして二つ重なると
逃げられないでしょう。

月のYODを持つ人は幼少時にこの<逃げられない><本質を曲げられる>を
体験しているのでは、と想像しています。

実例としてよく目にするのが「食べ物」について、です。
食事は毎日、三回。
食べられない自分を受け入れてもらえない。
なだめすかされ、食べることを強要される。
もちろん食わず嫌いもありますが、どうしても飲み込めないものも、
あります。

月-太陽-火星のYODを持つ7歳の女の子がいます。
ものすごく小食で、がんばって食べさせるのだけど
吐いてしまうことが多くて、とその子のママは悩んでいました。

子どもの頃の食生活は一生の基礎になる、偏食させたくない、
何でも食べられる元気な子にしたいのに、
食が細すぎて心配、標準よりずっと痩せている、
周囲から食べさせてないと思われたら嫌、
給食が食べられなくて、居残りさせられたらかわいそうetc
何でも食べられるようにしっかり躾けなければ、と思っています。

また、その女の子は幼なじみの男の子が抱きついてくるのが
すごく嫌で悩んでいます。一度、やめてと言ったとき
その男の子がとても怒ったので、それから「やめて」が言えない。
男の子のママは子ども同士の無邪気なハグだと思っている。
女の子は体を固くして、男の子が離れてくれるまでじっと耐えています。
「なんでもっと強く、やめてが言えないのかな?」と
その子のママは首を傾げます。
いつも食事はガマンして食べなさい、なのに
お友だちには嫌だったら嫌だと言いなさい。
ケースバイケース、という機能は月にはありません。
月は一事が万事なのです。
嫌な食べ物も嫌な感情もその子にとっては拒めないもの。呑みこむもの。
インコンジャクトやYODは月にそういう型をつくるように感じます。


8ハウスの月、ASC、冥王星、海王星、ヘッド、MCのアルプス形のあるチャート。
yasuh.jpg
海王星側にヘッドがあるので海王星的なご縁が生じやすい。
霊的な感受性が強く、他人との境が曖昧な配置です。
彼女にはなぜ、多くの人が自分に愚痴や不満など重たい感情を
吐き出すのか、わからない。
なんで私が?正直、うんざりなんだけど。。。
それは彼女に「呑みこんで一体になる型」があるからなのです。
おそらく月の年齢域でそういう育てられ方をしたのでは。
母親や家族の感情を苦しくても呑みこみ、受け入れてきた。
きっぱりと拒絶する人はそういった人を寄せ付けたりしない。
彼女が<重く>なることで、相手は<軽く>なります。
占い師やセラピストといった仕事でこの配置を生かすことはできます。
職業にして、お金を頂くことがガードになる場合があります。
料金が発生することで際限なく呑みこむ、ということがなくなるからです。
子どもをカウンセラーやセラピストのように頼っている
親がいますね。その子は自立してもそういう役割で他人に求められます。

再び、稲見優卯子さんのチャート
yukoi.jpg
優卯子さんは幼児期に摂食障害があり、
果物や野菜以外のものを食べることが困難な子どもでした。
周囲と比較するとちょっと変わった子どもで
親や大人を困らせたそうです。
昔はたくさん食べる子どもが子どもらしい子どもで、
食べない、食べられないということ自体が
自分自身でも不思議に感じていたとか。
幼児期から身の回りに不思議なことが良く起きたそうです。
けれど周囲から理解されることはなく、
自分でもよくわからないことが我が身に起き、
全く自分ではコントロールできない・・・
それが月を含むYODの象意なのでは、と
自己分析されていました。

稲見さんを鑑定させていただいた数日後に
前述の月のYOD持ちの7歳の女の子が食事中に
ひどいアレルギーが出て呼吸困難になり、救急車で運ばれた、という話を聞きました。
月のYODを持つ友人が
「食べないと許してもらえなくて、あれはすごくつらかった」
と話していたこととつながり、稲見さんの摂食障害のエピソードと
リンクし、このテーマについて書こうと思い立ちました。
せっかくのご飯を食べないことは、
もちろん褒められたものではないけれど、
その子の受け付けない感覚も尊重した方が安全、
とママにはお話しました。
月のYODは食べることについて問題が出る、と断言できるほど
事例を知りません。YODがもたらす<縛り>は
人によってさまざまなのだと思います。
勉強かもしれないし、習い事かもしれない、
愚痴や不満を聞き続けることかもしれないし
嫌いな人に対して、好きなふりをすることなのかもしれない。

稲見さんに摂食障害について、ブログで取り上げても良いですかと
お願いのメールをしました。
死ぬほど苦しい思いをしている人のためになれば、と承諾してくださいました。
このブログを読まれている方は占星術をされている方だと思います。
星を通して、悩みを理解し、寄り添うことの助けになれば、と願います。
吐いてしまう女の子についても、稲見さんから親身なアドバイスを頂きました。
実際に体験した人の言葉は重いですが、だからこそ切実に響くし、
他者の傷や痛みにも敏感なことに思い至ります。

苦しみ、悲しみの過去のいっさいを肯定できるものと
出会えれば、YODは福音としての意味を持つのかも
しれません。
















アルプス形 [ネイタルアスペクト]

二つのYODが底辺を共有し、
リボンのようにつながっている
配置があります。
上辺が90度になり、台形になります。
複合アスペクトについて詳しく解説されている
波木星龍氏の「占星学秘密教本」には
<アルプス形>として紹介されています。
台形と三角形の底辺をかねる二つの天体が大きな役割を果たし、
夢やロマンを現実化しようと努力する、と説明されています。

私はこの配置に、スケールの大きさ、
当たり前の日常をはるかに超え、
遠くから何かを持ち帰ってくるような
イメージを持ちます。

写真家 星野道夫氏のチャート
michiohosino.jpg
木星、火星を底辺とし、海王星、天王星を含む
アルプス形。
星野道夫さんはアラスカに住み、アラスカの自然を撮り続けた
写真家です。カムチャッカ半島でヒグマに襲われるという
最期だったのですが、そういう亡くなりかたも含めて
神話化している人であると思います。

天才的な人はどこか逸脱したチャートをしていて
常識の枠にはまらず、地域社会からもはみ出してしまう。
冒険心と好奇心から無謀なチャレンジをする。
あるいは居場所のなさ、息苦しさ、生きづらさを感じ、放浪する。
ときに極度に貧しかったり、不幸のどん底にあったりします。
平凡な毎日を送り、平凡な感性を持ち、安穏と暮らしている人が
文章だけ天才、写真だけ天才、ということはあり得ません。
星野道夫氏の生き方そのものが、写真や文章に直結していて、
多くの人の心を感動させるのです。

アルプス形や星野道夫氏に思いを馳せていたら
イラストレーター、画家をされている稲見優卯子さんを鑑定させて頂く機会に
恵まれました。ありふれた配置ではないのに偶然にも彼女のチャートにアルプス形を
発見しました。(実は鑑定においては、こういったシンクロは珍しくありません)
稲見優卯子さんのチャート
inami.jpg
月、金星、キロンの配置は繊細で優しすぎる性質を作ります。

淡く繊細に描かれる少女をモチーフにした心象風景。
画風だけではなく、彼女自身の心もそうなのです。
もう少しだけ鈍感で、要領よく立ち回れる性格であったら、
生きることがどんなにラクか。
けれど、もし彼女がそういう人であったら、
そもそも、この画風は生まれないし、
心の中の清らかで柔らかい部分に触れるような絵は描けない。
逆に言うと、そんな彼女だからこそ描ける世界があります。

他の誰もにとって、何でもないことが
彼女にとっては苦しみを伴う。
いろんなことを抱え込み、飲み込み、
心を痛くしてしまう。
自分の居場所に自信がない。
捨てられた動物たちの悲しみや悲惨さに
自分を重ねて、放っておくことができない。

金星と月の150度を持つ人に、とても優しい人でありながら
身近な人間関係において温もりを諦めてしまっているような
印象を受けることが多いです。
彼女の描く少女が物憂げでどこか淋しそうなのは、
そのせいなのかも、しれません。

ホロスコープの中に、ある種の生き難さを見出すことがあります。
それを嘆くことより、変えようとすることより、
そういう自分を認め、許して受け入れていくことの方がはるかに大切だと感じます。
アルプス形は底辺を共有するYODを二つ持つことから
使命や人生のテーマにおいて
表現方法や手段を二つ持つような気がします。

稲見優卯子さんのHP
http://www.inamiyuko.com










アスペクト図形の実例が豊富です。


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不安神経症のチャート [ネイタルアスペクト]

私は双子座の22度に月を持っているのですが
以前、松村先生に「双子座の21度あたりに天体があると
神経を痛めやすい」と教えて頂いたことがあり、気をつけています。
今のところ大丈夫なのですが、どうして神経を痛めやすいかは
自分の日々の暮らしを振り返ればよくわかります。

規則正しい生活は苦手。
自分の許容範囲の上限がわからず、無茶をしやすいんです。
パニック障害など不安神経症のスイッチがふとONになってしまっても
おかしくないのですね。

先日も釜山在住の方なのですが、博多まで、たかだか30~40分、飛行機に乗るというだけで
何日も前から苦しい思いをされていて、因果だなあ、何とか気が休まらないものか・・・と
考えさせられました。深夜に4時間ぐらいお話しましたが、占いに出来ることなんてないですね。
怖いものは怖い。何したって怖い。それを思考の力でなだめようとしても無理があります。
結局、飛行機で具合が悪くなるということもなかったそうで、
無事帰国され、元気な声を聞かせてもらって一安心でした。

で、この方も水星が双子座21度。
fs2.jpg
双子座のこの付近に月や水星がある人は沢山いて、
誰もが神経を痛めるということはないし、
双子座に天体がなくても不安神経症の人はいます。
ただ双子座タイプというのは確かにあって、
よく見かけます。

双子座の21度付近に月、水星、太陽があり、
水星のテンションが高いかNOアスペクト、
同時に月が冥王星と角度を取っているパターンです。

月、冥王星を持つ人、特に合やハードアスペクトを持つ人は
自己管理が上手くいっていない、というか一般的な生活習慣に
馴染まない人が大勢います。
眠るとなったら異常に眠り続けることも可能で、
寝すぎる人も多いような。心の負荷を眠ることで出来るだけ
軽くしようとしているのかもしれません。
馬鹿力モードと腑抜けモードを行ったり来たりすることが多いので
私は「三年寝太郎アスペクト」と呼んでいます。
さらに双子座が効いていると
食事に集中することも難しい。
ウィダーINゼリーなどは、双子座メシですね。

双子座の21度付近がなぜ神経を痛めやすいかというと
松村先生のサビアン本にも書かれているのですが、
双子座の知的活動が行き過ぎて、
身体感覚が薄れてしまうという理由があります。
あれこれ手を出したがる多芸多才な人を作りますが、
月のコンディション如何によっては
自分の許容範囲が曖昧で、
重くハードなものも受信してしまう。
そうなると感情や体が反乱を起こします。
思考と感情と体、どれを無視しても先には進まないということを
学ぶのですね。

とても双子座らしい音楽家として菊池成孔さんのチャート。
kikuchinaruyoshi.jpg
ジャズミュージシャン、作曲家、文筆家、講師、と多彩な活動をされています。
そして、神経症。
山下洋輔トリオで演奏されていたころ、
姉に誘われて何度かライブに足を運びました。
危ういギリギリの境界線まで行って、生還してくるといった演奏で
15年以上は経つのですが今でも凄烈な印象が記憶に残っています。

出生時間はわからないのでソーラーチャートで作成。
太陽は双子座23度、水瓶座土星とトライン。
太陽がこの付近にあると、仕事は朝から晩までということになりがちなようです。
仕事に拘束されて、というのではなく境がない、ON/OFF機能がないのです。
この方は目上の人に恵まれ、キャリアを築いていける運気の持ち主。
エッジが効きすぎているのは、
牡牛座の終わりと双子座のはじめの水星金星の合と
乙女座天体群のスクエア。乙女座の初期度数は
デザイナーやイラストレーターにも多いのですが、
洗練されたフォルムを残すため
無駄を排除する力が強いです。
菊池成孔さんのチャートでは、月が対向の魚座にあり、
乙女座の天体が捨てたものを魚座の月がせっせとゴミ広いする。
ゴミやノイズを料理して展開するのが水星、金星。
掃除魔とゴミ拾いと遊び人が同居しているチャートといえそうです。
射手座の初期度数にリリスがあり、水星金星の合と天王星とでTスクエアを形成。
彼の作品が狂気や背徳的な美の魅力をまとっているのはリリス効果かもしれません。

出生時間不明なので月は誤差があるのですが
冥王星とオポジションを形成、
魚座にはキロンがあり、合の可能性も。
子どもの頃に、子どもが触れるべきではない闇に触れていた、
ということでトラウマにも関係するし、
奈落の底に通じる穴がいつも身近にあります。
恨みや怨念、執着、愛憎など重い感情をいつまでも持ち続け、
神経を痛めてしまう傾向。

飛行機が怖い方も、この不安のきっかけになった出来事を思い出せない。
息が出来ない恐怖は、この世に生まれてくるとき
産道があまりに苦しかったせいかもしれないし、
幼すぎて記憶に残っていないけれど体のどこかが危険を覚えていて
緊急ボタンを押しているのかもしれません。

双子座はいつまでも若々しく落ち着かないサイン。
競争社会、新陳代謝の激しい場所でやっていける可能性を秘めています。
でも、感情や体は大事。軽視しないことです。
嫌だ、怖いという気持ちを感じたら、思考の力で押さえつけるよりは
存分に味わって、その感情のルーツはどこか、心や体と対話すると良いと思います。
まずは向き合ってみることが大切です。


















二等辺三角形のアスペクト [ネイタルアスペクト]

ニ等辺三角形のアスペクトは小トリンやYOD以外にも
たくさんあります。

今回はバイキンタイル-キンタイル-バイキンタイルの
二等辺三角形について思うところを書いてみようと思います。
珍しい部類に入るのか、私自身はあまり見かけないコンビなので
推測の域は出ないのですが、持っている人にとって
何らかのヒントになれば幸いです。

サンプルとして、バイキンタイル-キンタイル-バイキンタイルの二等辺三角形を
持つ方のチャート
hy.jpg
バイキンタイル(144度)はクリエイティブな素質を現すキンタイル(72度)の
二倍のアスペクト。
創造性が内面に向かいます。霊感、内なるビジョンを具現化したいという思いを
与えるのではと感じます。楽しみやアイデアを思いつくのがキンタイルなら
さらに思索を重ねるのがバイキンタイル。真理の追究や精神修養にもつながります。
武道、茶道など日本人の<道>という観念に近いものがあるのかもしれません。

YODもそうですが二等辺三角形は表面には出てこなくても
その人の資質を特殊な鋳型にはめてしまうのではと思います。

バイキンタイル-キンタイル-バイキンタイルの二等辺三角形は
芸術や思想などが時間をかけて練られ、着実に具現化すること、
集中力、鍛錬など内面の力によって
自分が夢見ている新しい自分へ生まれ変わりたいと願う
心の働きを表しているように感じます。
おそらくレッスンや修行は好きなはずです。

チャートの方は土星を頂点とする二等辺三角形。
5ハウスの天秤座金星は統治星であり、水星とカジミ、
ヘッドと海王星の合とは72度になります。
8ハウスの月を頂点とするYODなど
全体的に霊的な匂いのするチャートであると感じます。
同調する力が強く、そのエネルギーに他人が依存するケースも
ありそうです。

バイキンタイルは長期間鍛錬し、一芸で身を立てるといったことにも関連するのでは。
土星が関わっているので、それは自分自身の使命であるように感じるだろうし
何かを成し遂げるためストイックに節制する姿勢にもつながるでしょう。

マイナーアスペクト同士で作る配置なので、
上手く説明しづらい、
微妙なニュアンスの心の働きです。
ただ意欲、衝動は強いはずです。

この二等辺三角形は
HN5では合になります。内円はネイタル、外円はHN5。
hy21.jpg
オーブが広がり11ハウスから12ハウスにかけての
ゆるやかな合に。出生図の8ハウス牡牛座月と120度、
3ハウスの海王星ヘッドとスクエア。
世界のどこかに同じ思想を持つ人たちがいるはずです。
芸術によって無意識の世界にアプローチする可能性。

この方はベリーダンスをされているのですが、
トランスダンスのような分野の方がより近いのかもしれないです。
踊りによって観る人もダンサーも変性意識に入るといったような。
HN5のキロンとN土星の合はダンスなら巫女舞のようなイメージですね。
瞑想のような、あるいは悪魔祓いのような意味を持つ踊り。
無意識の衝動を解放するためのダンスをレクチャーすることなど。

道のりは長く、明確に目標が見えてくるのは先かもしれません。
理想の自分にゆっくりと生まれ変わっていくチャートといえそうです。




火星-海王星について③ [ネイタルアスペクト]

マドモアゼル先生の占星術テキストに

「火星と海王星のアスペクトほど虚しいものはない」

とあり、なんだか実感がこもっているなあ、と感じました。

チャートを作成してみたところ、火星-海王星のコンビがありました。
エッセイを読ませていただいたら、なるほど
建てたばかりの別荘が火事になって近隣の家も焼いてしまったなど
火星-海王星っぽいエピソードをいくつも発見しました。

財産をなくすカタチで出る場合もありますが、
今まで力を注いできた物事が立ち消えになるなど
努力が水泡に帰すといった出来事が起きやすいようです。
砂上の楼閣のように、積み重ねたものが行き場を失う。

何かと問題の多いアスペクトですが、
占い師なら、あるいは芸術家なら、このアスペクトは欲しいです。

火星という強い意志の力が、広大な無意識を司る海王星に向かうので
引き寄せの法則など、願望実現にも関係すると思います。
集合無意識が相手なので、何を引き寄せてくるかわからない
危険もはらんでいます。
次から次へとアイデアが湧いても
日常のあらゆることに対してうかつで、上手く回っていかない。。。
なんて悩む人も多いのでは。

どのアスペクトもそうですが、やはりチャートの中で統合されているかどうか、
意識できているかどうかで、効果が決まってきます。

海王星と火星のスクエアと木星と土星のスクエアの両方を持つ人は
アイデアが浮かんでも、それを一度全否定してしまう、
直感を信じず、もう一度常識と照らし合わせて
ありきたりな判断するくせがあるとか。
けれど、「このやり方はあまり上手くいってない気がする」と
話されていました。
痛恨の大失敗はないけれど、もっと海王星を生かして成功したい。

海王星は、誰かのアイデアや願望、欲望、不安をキャッチします。
多くの人と同じような願望を漠然と持っているだけでは
なかなか火星の力を発揮しにくいようです。

自分本来のテーマに叶ったものを繰り返し、飽くことなく意図し続けることで
思惑はずれなことは減り、必要な物はもたらされると感じます。


火星-海王星について② [ネイタルアスペクト]

これは以前勤めていた職場の同僚のチャートです。

takahasi.jpg

もう20年近く前のことです。ある日のこと、
「今日は記念日だから、一緒に祝って欲しい」といわれました。
よくわからないままワインで乾杯し、
「何の記念日?」と訊くと
「他人の借金、完済記念日」ということでした。

詳しく話を訊くと、彼はたいして親しくもなかった職場の先輩に、
迷惑はかけないから、必ず責任を持って返済するから、
名義を貸して欲しい・・・
そう頼まれてサラ金に連れていかれ、自分の名義でお金を借りるハメになってしまったのです。

そしてその先輩は行方をくらまし、同僚はその後、4年かけて
元金と高額な利子を支払ったのでした。

「給料日の前はお金がなくて食べるものが買えなくてさあ。
空腹で胃が痛くて、痛くて。畳の上を転げまわったよ。
この借金さえなければ、ご飯が買えるのにって何度思ったことか」

私はあきれて
「なんでそんなバカな申し出を受けてしまったの」と返しました。
人が良いのも程がある、と。

「無理です、できませんって何度もそう言ったよ!何度も何度も言ったけど
引き下がってもらえなかったんだ。借りる直前まで嫌だ、嫌だって言ったよ。
でもキミにしか頼める人はいないって人前で土下座されたりしてさ。
何で僕なんですか、他にも頼める人いるでしょう?そう言っても、
いや、キミ以外に頼める人はいないって押し切られてしまって。
途中で何も考えられなくなって、この人を信じるしかないって気持ちになって、
名義を貸すだけですからね、絶対、責任を持って返済してくださいよ・・・って」。

ありえない、と思いましたが、でももし私が彼の立場になったら、
同じ目に遭っていたかもしれないと感じました。

「でも、良い勉強をさせてもらったと思っているんだ。
あの人は僕の前から消えたけど、もし偶然どこかで出会えたらお礼が言いたい」

そう言った彼の顔は晴れ晴れとしていたけど、
相手は、まるっきり何とも思っていない・・・そう直感しました。
もちろん、そんなこと彼には言えませんでした。

2ハウスの月、海王星ー8ハウスの火星、木星、水星のオポジション。
たとえば7ハウスにマレフィック天体があったり
1ハウスのマレフィック天体と7ハウスの天体がオポジションである場合、
パートナー、クライアントといった人からの厳しい人格否定を経験しがちです。

2ハウスー8ハウスの場合は自分と他者とのエネルギーが一体になります。
「あなたのものは私のもの、私のものはあなたのもの」といったような。
火星-海王星が2ハウス―8ハウスでオポジションとなると
ダイナミックにテリトリーが崩壊し、
相手に深入りしたり、されたりするでしょう。
彼は騙され、利用されてしまったけれど、
それは不幸中の幸いだったのでは、と感じます。
自分の甘さと向き合い、責任をもって自力で借金を完済した彼からは
やり遂げた感、自信が感じられました。

試練を乗り越え、成長した彼と比べ
騙し、陥れた相手の方が霊的には憐れだと思えるのです。

彼にとっては人間的に成長する、またとない試練だったのかもしれないけれど、
占星術の役目としては、自分の運命の傾向を理解し、
こういう危険を出来る限り回避することだと思っています。

魂の成長という観点から見れば、占星術は妨げになっているのかもしれません。

火星ー海王星のスクエアを持っている方からも
大金を他人のために用立てたけれど・・・というエピソードを聞きました。

「彼女のため、良かれと思って、お金をかき集めたんだけれどね。
この体験は私自身が<許すこと>を学ぶために起きたと思っています。
けれど、私のしたことは全く彼女のためにはならなかったのよね・・・」

慰めたくて、
「もしかしたら、申し訳ないことをしたと、どこかで後悔しているかもしれませんよ」
と言いました。
「いいえ。何とも感じていないってわかるの。彼女自身のためにならないことを
してしまったわ」

元同僚も、この方も共通しているのは、これぐらいのことではへこたれず、
常に希望(それも特大スケールの)を失っていないということです。

元同僚はミュージシャン志望だったのですが、借金でギリギリ生活のときもも
自分で作詞作曲した曲がある程度たまったら、
ホールを借りて、定期的にライブを催していました。
やはりすごくエネルギッシュです。

何度、失望しても復活し、夢を叶えようとする力。
前向きで、自分の夢を忘れない。
それが火星-海王星のエネルギーであると感じます。

続きます。





火星-海王星について [ネイタルアスペクト]

前回、ギャンブルのチャンス日について書いたことで思い出されたのが
火星ー海王星のコンビ。
今日は、火星ー海王星を持つ方のエピソードを紹介したいと思います。

15年前のP新月の頃、私は空港に勤めていて、主に同世代の女の子を
占わせてもらっていました。そんなある日のこと、
年配の警備員の男性から声をかけられました。

「キミも占いやっているんだって?僕も占いやっているんだよ。
いやあ、この空港に占い師が二人もいるなんてネ、
よかったらお友達になりましょうよ。
占ってあげるから出生データ教えてよ。」

この方はAさんといって、算命学の占い師さんでした。

こうしてAさんと知り合いになり、
お互いに鑑定をしあうことになりました。

算命学の的中率にびっくりするのと同時に
占星術との符号に驚きました。

Aさんはその後、私に経験を積ませようと
どんどん、どんどんお客さんを紹介してくださるのです。

それまで、同世代の女の子の恋占いが主だったのに
いきなり土星年齢域の方をたくさん鑑定することになり、
当時はとてもプレッシャーでした。実のところ、嫌で嫌で(汗)

P新月期に目的を持って何かを始めた場合、
こういった荷が重いことが起きやすいのではと感じます。
P満月期の現在も似た状況は起きているのですが
気持ちはあの頃よりも軽いですね。

さて占い師のAさんですが、、、火星-海王星のタイトな合を持っていました。
Aさんは空港警備員をするまえ、交響楽団のコントラバス奏者をされていました。

Aさんは退職金を全部、株で失くしてしまった経験をされていました。

「今までずっと占いを使って株で儲けてきたんよ。
でもここ一番!と思ったのがアカンで、
築き上げてきた物ほとんど失ってしもうたわ。
後で冷静に星を読んだらハッキリ、アカンと出てるのよ。
アカンと出てるのにいけると思うてもたんよね。
こういうの<紺屋の白袴>っていうんよ。覚えときなさいね。
あなたも星で調子乗ったら痛い目に遭うよ」

そういってAさんは笑いました。

その後、火星-海王星のコンビを持つ人を何人も見ました。
多くの人が財産や経歴を失くすなど、いわゆる<痛い目>を見ています。

歌、ダンス、お芝居など芸術活動をされていて、そちらに天体のパワーを使って
無事な人もいます。Aさん自身もコントラバス奏者でしたが、やはり芸術家が多いです。
普通のサラリーマンだとめちゃくちゃ忙しい人になってしまう特徴もあります。

でも、もっと特徴的なのは、瀕死の状態になったり危機的なダメージを負っても
復活できることです。再び、這い上がってチャンスを手にするのです。

「財産失ったのは痛かったけどね、何とかなるもんよ。
警備員のアルバイトするようになって
毎日楽しいわ。友だちも沢山出来たし、占いのお客さんも増えたし、
あなたみたいに若い女の子とも知り合えたしネ!」

Aさんは明るかったです。

彼との出会いは重要なエポックでした。
Aさんが財産を失くし、空港に働きに来なければ、
私は彼からいろいろ教わることもなかったわけで、
不思議な運命の糸に感謝せざるをえません。

火星ー海王星の持ち主は直感に優れ、無駄にエネルギッシュです。
失望を繰り返しても、何度でも希望を持てる。

ただギャンブルや飲酒への耽溺傾向や思わぬ裏切りにあうといった傾向も見られるので
自覚が必要です。

続きます。




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