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150度のアスペクトを持たないチャートについて。/丸ごとYOD講座のお知らせです。 [ネイタルアスペクト]

YODは2つの150度+60度で
構成されるアスペクトですが
150度を持たない人も多くいます。

エレメンツやクオリティと同じく
特定のアスペクトが欠落している
という場合もその人の重要な個性と
なります。

Joan McEvers/MarionD.Marchは
インコンジャンクト(150度)の
欠落について

「チャートの中でインコンジャンクト
 が欠落している人々は、他の誰かの
 欲求や希望に適応したいと感じること
 さえない。彼らは、自分に期待
 されていることがわかっているかの
 ように、不安という特別な苦痛を
 得る。しかし彼らは基本的に
 自分自身の感情のみで考えて
 いるので、本当のところはまるで
 わかっていないのだ」

 と述べています。

インコンジャンクトのキーワードは
「調整」や「妥協」。

10天体の組み合わせで
1つでも150度があれば
分かり合えない関係でも
調停できる妥協点を探り
折り合いをつける力がゼロでは
ないということです。

150度が多ければ、矛盾や
葛藤の多い状況の中、
自分自身を
抑圧しがちだということに
なります。

YODが2つも3つもある場合は
多すぎる矛盾や問題と対峙し
悩んでも答えが出ないものは
しょうがない、と達観し、
シンプルな生き方に
振り切ってしまう人もいます。


最近「きのう何食べた?」
というドラマを観ていたところ
18歳の次女が
「私はこういうの苦手なんだよ」
と言ってきました。

「ゲイカップルが苦手なの?」
と聞いたところ
「ゲイカップルは嫌いじゃないし
 もっと世間的に認められたら
 良いとさえ思っている。
 私が嫌なのは女の人が考える
 同性愛なの。苦手なのは
 BL(ボーイズラブ)なんだよ」。

アニメや漫画、ゲームに関する
二次創作や同人活動を楽しんで
いる方たちの中でも
BLのファンは多いです。

そのためジャンルを変えても
目にしてしまうのが
次女の悩みなんだそう。

「BL苦手だって言うのも面倒くさい」
という次女を面倒くさいやつだな、
と思いつつ、チャートを見てみると
インコンジャンクトが
欠落しているチャートでした。

嫌悪感のあるカップリングや
ジャンル、シチュエーションを
公言し避けている方を次女以外に
数人知っています。
やはりチャートに150度なし
でした。
(人数があまりにも少ないので
 何ともいえませんが)

もしYOD持ちであれば
同じように苦手なものが
あったとしても
相手に合わせなくては、と
その場では自分を抑える傾向が
強まります。

次女はBL以外でも
「〇〇は無理なの」と
言うことがあります。
トランジットでもプログレスでも
インコンジャクトやYODは
形成されやすいので、
その期間に苦手なものと
それなりに折り合いをつけることを
学んでいってもらいたいと
思います。

矛盾や妥協、葛藤を意味する
インコンジャンクトが
チャートに全くないというのも
生きづらいようです。

<丸ごとYOD講座>では
インコンジャクトやYODとの
活かし方について
取り上げます。


**********************************************

<丸ごとYOD講座>

日時:10/27(金)20:30-22:30
   10/30(月)13:00-15:00

料金:3800円(テキスト+録画有)

テーマ:YOD
 
お申込み、お問合せはギンコさんまで。

pbzuag@yahoo.co.jp  

どうぞよろしくお願いいたします。
IMG_7399.JPG
「尾リパ地雷の人が見たらどうするの!」などと
次女が言ってますが
さすがに占星術界隈ではいませんよね・・・
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月と海王星の30度について [ネイタルアスペクト]

リラさんの占星術エッセイ本
<キャトロの星の庭>が気に入っていて
何度も読み返しています。
ご自身で手作りされた
とても可憐な本です。
キャトロの星の庭IMG_1884.jpg
プログレスの新月のときの
エピソード、
ネイタル太陽にソーラ―アークの
冥王星が合になったときの
大変だった話などなど、
その当時の星回りの影響が
リアルに感じられます。

星の活かし方や対処法について
占い師にアドバイスを求めるのも
良いのですが、
実際に乗り越えたり
それなりに大丈夫になった方の
考え方や姿勢から学ぶことを
おススメします。
100人いたら100通りの乗り越え方が
あるはずです。

とくに海王星について書かれたこちらの
エッセイが好きです。

月と海王星のスクエア/文学者たちの海王星
https://cotorilla-garden.amebaownd.com/

人生を感性豊かに生きる上で
いかに大切な星であるかがわかります。

とくに又吉直樹さんのエピソードに
感銘を受けたということもあって
彼のYOUTUBEチャンネルを
観るようになりました。

又吉さんは朝7時頃~夕方19時頃の間に
生まれていた場合、月と海王星の30度
を持ちます。
(フーバーメソッドでは月-海王星の
 30度のオーブは3度です。)

又吉さんは比較的珍しい
複合アスペクトをいくつか
持つのですが
そこに月-海王星の30度が関わります。
月-海王星30度は繊細な心を持って
<小さく考える>才能を指します。

又吉直樹さんの複合アスペクト
<Detective>小三角+セミヨッド
DETECTIVE.jpg
<小さな手がかり、些細な情報、
わずかな変化などを発見し、
大きなジグソーパズルに
組み込んでいく。
痕跡を見逃さない。
真実を暴くことを好み、
あらゆる嘘を見抜く。
自分自身に対して
きめ細かく対応する。
精神を浄化し破壊的な影響を
排除する。
過度に献身的な性質を持つ。
不快を快にしようとする。
不一致は抑圧の傾向によって
引き起こされる。
イライラして不機嫌になるが
静かで円満な性格には
なぜか似合わない。
しかし、それは
何かの間違いや嘘、不味いものを
見つける能力でもある>

<Shield>上辺が60度底辺が120度、
対角線が90度になる台形アスペクト。
サイドのセミセクスタイルのオーブが狭いため
出現率は低くなる。
SHIELD.jpg
<防御することで、エネルギーの
損失を回避する。
文句を言ったり非難する。
敵の襲来を抑止し、あるいは
吸収する。
吸収力が強い。
激しい衝撃を受けることができ、
その衝撃を他のことに転換する。
周囲の人が思うよりもずっと
弾力的である。
大きな声で文句を言う。
セミセクスタイルがひとつしか
ない場合、守備力が低下し、
周りの人はすぐにこの弱点に
気づき、敏感な場所を攻撃する>
──ASPECT PATTERN ASTROLOGY
Bruno and Louise Huber より引用

月-海王星の30度、あるいは
<Detective><Shield>などの
複合アスペクトを持つ人は
参考にしてくださいね。

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キロンについて [ネイタルアスペクト]

5月、6月の実践講座はキロンがテーマでした。
キロンは傷と痛みを与えるけれど、乗り越えることによって
同じ問題や困難に対峙している他の人を助けることができると
教えてくれます。

今回、強く感じたことは
みんな誰かの為になれる生き方がしたいんだな、ということ。

上から目線で「治してやろう、癒してやろう」ではなくて
「うんうん、痛いよね、その痛みはよく知ってる」と肯定して
寄り添うことで、その人のキロンも慰められ、満たされる。

キロンを苦しめた毒矢の本質は
魂の痛みを解放する救いの矢なのかもしれません。

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土星-天王星について [ネイタルアスペクト]

昨日、小山さんと話していて
土星-天王星を持っている人は
父親が土星-天王星っぽい仕事をしていることが
多い、と話されていたのですが
なるほど、と思いました。
私は土星-天王星が150度なのですが
父は図面を描く仕事をしていました。

当時は手描き時代で、
設計室は静謐でピンと張りつめたような
空気がいつも漂っていました。
青焼きのアンモニアの匂い。
ドイツ製の製図道具をとても大切にしていて
ぴかぴかに手入れしていました。
手描きの図面は子どもの目にもキレイに
映りました。
青焼き図面なんて今となっては
時代遅れの無用の長物ですよね。
でもとても美しくかっこよく見えたのを覚えています。

土星-天王星は研ぎ澄まされた職人技の手仕事も意味します。
金星が関わればデザイナーやイラストレーター、料理人、パタンナーなどで
突出した才能となります。

占星術師も土星-天王星といいますが
昔、ホロスコープは手描きで、職人技だったのかも。
美しい手描きのホロスコープをいくつか
見たことがあります。
いつかまたフリーハンドでホロスコープを描いてみたいです。

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エレメントのバランスについて [ネイタルアスペクト]

初級集中講座でエレメントやクオリティの強弱について取り上げました。

11231.jpg

10天体のバランスを見ましたが、ほかの見方もご紹介しますね。
◎10天体にアングルを加えて計算する。ASCとMCが各2点、太陽と月が2点、他1点。
◎ASCやMCの5度以内にある天体のエレメントを3点とする。
 DESやICの5度以内にある天体のエレメントに2点加点する。
◎太陽に対して0度、90度、180度になる天体に3点、
 60度、120度は2点を加点する。
 火・・・火星、木星
 地・・・土星、金星
 風・・・水星、天王星
 水・・・月、海王星、冥王星
たとえば太陽と土星がコンジャンクションの場合、地のエレメントに
3点追加する。
◎不足しているエレメントがASCを占めるとき、過剰補償が起き、
人々がその人をどのようにみるか、不足しているエレメントによって
示される。

土星までの7天体で配分を見る(天王星・海王星・冥王星を含まない)方法も。
私自身はひとつしかないエレメントの天体がトランスサタニアンだった場合、
その天体の性質が突出しすぎるのではと感じています。
まだ仮説の段階ですが・・・
参考になさってくださいね。



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木星-冥王星について② [ネイタルアスペクト]

16年も前の勉強会のメモが出てきました。

「木星-冥王星は<喝采症候群>に関係する」

(喝采症候群──人の賞賛ばかりを求めて生きる。
        万能感に満ち、少しの批判にも耐えられない。)

木星-冥王星は社会的成功、権力やステイタスへの衝動をもたらしますが
根本には<喝采症候群>が隠れている場合があるのかもしれません。

喝采症候群とまで行かなくとも、誉められたい、賞賛されたいという
願望は多かれ少なかれ誰にでもあると思います。

賞賛されること、承認されることは人をとても良い気分にしてくれます。
でも、人から認められること、誉められることばかりを求めると
反対や批判、非難、拒絶、孤立にとても弱くなってしまいます。

自分のしたいことよりも周囲の求めていることを優先しなくては
ならなくなります。
多くの人の支持を得るためにウケ狙いや迎合をするはめになることも。
おだてに弱くなり、持ち上げられると引っ込みがつかなくなるかもしれません。
自分のパワーを常に周囲に証明し続けなければならない
といった気負いも出てくるでしょう。

また、いつでも認められたい、賞賛されたいといった気持ちが強すぎると
賛成、反対といった意見に振り回されやすくなります。
他人にコントロールされやすい状況であるということです。

木星-冥王星は集団からの承認という意味を持ちますが
自己価値を測る物差しが常に他人からの承認、賞賛であるとしたら
こんなに苦しいことはないでしょう。

自分にとって重要な存在(主に両親)との関わりによって
こういった傾向を持ってしまうことは多いものです。
しかしこのような弱さを克服するためには
他人からの賞賛に頼らず、自分で自分を賞賛する、
自分を尊ぶ心を育てる必要があります。

アスペクトにはさまざまな次元があります。
もし、木星-冥王星のパワーを自分自身の資質として
大きく使いこなすことができる人なら
世の中のために大志を抱き、
信奉者や資金を広く集めること、組織をつくることなどは
訳はなさそうです。
歴史的な人物では坂本竜馬が
活動宮での太陽-木星-冥王星のT字スクエアを持ちます。

sa-sni.gif

内円は坂本竜馬、外円が作家・司馬遼太郎です。
木星-冥王星が強調されている相性です。
司馬遼太郎を国民的作家に押し上げたのは
坂本竜馬を題材にした「竜馬がゆく」という作品でした。

坂本竜馬がこれほどまでに愛され尊敬される
国民的ヒーローになり得たのは
司馬遼太郎の力が大きいでしょう。

木星-冥王星の影響力の大きさを感じます。
といっても私は「竜馬がゆく」を読んだことがありません。
この秋、トライしてみたいと思います。


理想主義について [ネイタルアスペクト]

心の防衛メカニズムとしての理想主義について。

心理占星術では個人的な領域を司る太陽、水星、金星で理想主義が形成されると考えます。

①太陽、水星、金星の二つ以上の組み合わせで、合が形成されること。
②太陽、水星、金星の間でミューチュアルレセプションがあること
③太陽、水星、金星がミッドポイントで関わること

このうちのどれか一つでも当てはまれば理想主義的な傾向が強まります。
従来の占星術でも太陽と関わると
その天体の持つテーマにおいて主観的になりやすい、という解釈があります。
そもそも水星は太陽から28度以上、金星は48度以上、離れることはなく
太陽、水星、金星の組み合わせの合を持つ人は多いです。

理想主義は、誰もが社会と対峙するときに
大なり小なり持つであろう心の防衛機能です。

私たちは未経験のことにチャレンジするとき、
自分なりの理想の展開を思い描きますが
しょせんは自分のアタマの中のイメージの範囲内でしかないわけです。
当然、現実とのズレ、ギャップを感じることもあるでしょう。

しかし何の予備知識もビジョンもなく
いきなり外の世界と関わってしまうと
大きな痛みやダメージを被る場合もあります。
そのとき内面に夢やイマジネーションがあれば、
現実という壁にぶつかったときに傷つき過ぎないですみます。
人は誰でも無意識のうちに自分を守るための
理想パターンを形成し、外の世界からの影響に対処しているものです。

現実からかけ離れない程度の理想はむしろ必要なものでしょう。
しかし気づかないうちに理想のパターンにこだわってしまい、
なかなかはずせなくなるといった苦しみとも表裏一体です。
自分の狭い視野の中に閉じ込められてしまうのです。

たとえば
「33歳までに理想のパートナーを見つけて結婚し
36歳までに絶対に子どもを産む」など。
この数字に何の根拠もないのにも関わらず、
無意識にセットしてしまっています。
叶えられなければ、焦ったり不安になってしまうでしょう。

また木星と海王星も理想主義的な要素を助長しますが
これは、正岡子規のいう<理想>のイメージと近いように感じます。

子規は理想のことを

「一見現実の束縛を受けず、自由奔放に見えて、実は規制のイメージや
パターンに強く拘束されている。
勝手気ままのように思いながらルーティンの奴隷であり、
出来合いのイメージの規制や凡庸さから抜け出せない」と否定します。

そして「写生」こそは多様多彩だといいます。

「写生」は現状の把握や、現場をしっかり観察すること、
あるいは心と現実の間に横たわる
思い込みや幻想をはぎとり、しっかり物事に触れることなのでしょう。

私自身は太陽、水星、金星の組み合わせを持たないので
理想主義の傾向は強くはないのだと思います。
しかしながら、自分を振り返ってみると
自己防衛のパターンを持っていることに気づきました。

太陽と土星の合を持つ私のパターンは<自分には出来ない>です。
「あんたには出来ない」
「どうせダメに決まっている」は親の口ぐせでした。

世の中、そんなに甘くない。
失敗させたくない、無駄足を踏ませたくないという
親心だったのかもしれません。
実際のところ何もしなければ、失敗という苦い思いを味あわなくてすむので
自己防衛になります。

でもこの1~2年は、
「きっと上手くいかないだろうな。しかしダメもとでトライしよう」と一部分
発想の転換をするようになりました。

実際にやってみると、やってみただけのことはあり、
思いがけないレスポンスがあります。
些細なことですが新鮮な発見があり、大きな変化になりました。

自分自身の理想主義のパターンがどのようなものか
意識できると良いと思います。
他の人のパターンもホロスコープ全体を観ながら
一緒に発見できると良いですね。
意識できれば、少し変えてみよう、脱皮してみようと
固定観念をはずす契機になります。













インターセックスの方のチャートについて [ネイタルアスペクト]

インターセックスの方のホロスコープを
リーディングさせて頂くご縁に恵まれました。

この方のチャートから浮かび上がってきたのは
キロンの痛みと、水瓶座の孤独についてです。

キロンには心の傷と癒し、医療、精神世界、倫理観というテーマが
与えられています。

キロンは占星術を司る星でもあります。
占星家にとって、もっとも必要な資質は
<その人の痛みを当人以上に鋭く感じ取られること>であると、
私自身は考えます。
そして、その能力はキロンが司どるものです。

今回、サンプルになってくださる方はSさん。64歳の方です。

Sさんは在日韓国人二世として、
同時にインターセックスとして生を受けました。

インターセックスのことは、私もSさんにお会いするまで
詳しくは知らなかったのですが、
性が未分化な状態で生まれてくるケースがあるのです。
生まれてすぐ整形手術が行われることもあります。

Sさんは男の子として育てられました。
幼い頃は、事実を受け入れないように生活されてきたとか。
しかし12、3歳のころから自分は他の人と違うと
意識せざるを得ないようになってきました。
周りの男の子が大人っぽく変化していくのに、
自分にはそれが全然ない。
ヒゲは、マッチ棒の燃えカスで描いていました。

周りが女の子と付き合うので真似事で自分も付き合ってみたけれど
全然何もしないので不思議がられたそうです。
初恋の相手は男の子でした。

身体検査、病院、トイレ、温泉、ファッション、グループ旅行、恋愛etc...
数え上げればキリがないくらいの不都合な人生。

人にとって当たり前のことが自分には当てはまらない。
ましてや性のことのなので隠さざるを得ない。
長年の間、精神的な拷問を受け続けたようなものです。

「一体自分は何者なのだろうか、いつも自問自答の心境にあります。
こんな私をサンプルとしてブログに取り上げていただけると嬉しいのですが。
同じ苦しみを持つ人の処方箋になればと思います」。
Sさんからこのようなお申し出を受けました。

「一体自分は何者なのだろうか」

誰もが一度は考えることでしょう。
ただこのナイーブな言葉を口にする方の年齢が64歳であり
さまざまな人生経験を積んでもなお
その思いが消えないということに
切実さ、哀しさを感じざるを得ませんでした。


ホロスコープからSさんが何者であるか、
どうしてこのような人生だったのかを紐解くこと、、
同じ苦しみを持つ人への処方箋が書けるのかわかりません。
ただ何かヒントが見つかればと思います。

Sさんの出生図
sa3.gif
AP=木星/冥王星=天王星
土星/海王星=冥王星
太陽/月=海王星
海王星/冥王星=水星/冥王星=土星
太陽/冥王星=木星
土星/天王星=太陽

厳しい現実感覚と社会的な成功。
同時にスピリチュアルな方向性も併せ持つといった
相反する二つの側面があります。
冥王星は先祖を司ります。
太陽/冥王星=木星は家系など集団のリーダーとして
先祖によって選ばれた存在であることも示しています。

キロンは金星とセプタイル、火星とキンタイル。
HN5で火星キロン0度、HN7で金星キロンが0度。

男性としても半端、女性としても半端といった
欠陥感を与える配置ですが、
同時に高い精神性も培われます。

「異性を求めるという気持ちが湧かない。
内面で男性としての自分、
女性としての自分が
入り乱れて存在している」感覚があるということです。

異性を求めること、また異性として求められることは
根源的な強い欲求で、芸術表現としても巷にあふれ返っています。
それなのに、自分には当てはまらない。
やはり壮絶に孤独で、
自分の存在価値を根底から揺さぶることだったでしょう。

水瓶座生まれ。
しばらくこのチャートを探索しているうちに
水瓶座10度付近に天体を持つ7人の方と話す機会に恵まれ、
理解を深めることが出来ました。
占星術に関して、こういった引き寄せは不思議と良く起きます。

ホロスコープの頂点に位置する山羊座は
組織の中で采配をふるうこと、
その「場」で自分の役割を担い、
立場を確立させていくことを目指します。

山羊座の次のサインである水瓶座は、山羊座的な世界観から降りており
ラベルを貼られることを嫌がります。

「自分はフラットである」
「自分の役割を決め付けてはいけない」
「自分の世界を自分で縛ってはいけない」
「あえて物事に意味を与えないこともOKである」

常にニュートラルでいることを求めます。

しかし、この感覚が行き過ぎると

「自分は何者でもない」
「自分はどこにもいない」
「自分はからっぽである」
「集団幻想の中で自分だけが覚醒している感覚」

社会の中ではときに安定感を失うことも。

インターセックスという
存在そのものが認知されていない性を持ち、
身の置き所がなく生きなければならなかったのは
水瓶座の3つの天体が冥王星とハードに関わったせいかもしれません。

ただ普通に存在すること=蟻地獄で立っていようとすること。

不毛で膨大なエネルギーを費やします。
そしてその苦しみを誰も見ていないし、気づかないし、知ろうともしないのです。

同時にこれはキロンのテーマと共振します。
たとえば結婚したら子どもを生むのが当たり前という価値観の中では
子を持たない自分は浮いているように感じられるでしょう。
根源的な欠落感に苛まれます。

8歳のとき
MS-1958.gif
SA月はn天王星と0度、SA火星はn海王星と0度。
SA太陽、SA MCはn冥王星と180度。tキロンと合
n月にはt土星が180度、nキロンと合、nMC、n金星、n木星にt天王星が180度。
n ASCにt冥王星が90度。

何らかの過度なストレスが引き金になったのか
ある日、山道で蛇が話しかけてきたといいます。
それからしばらくの間、
夜中、眠っているときに外をうろつくようになりました。
朝、起きてみると足の裏が汚れているけれど
何の記憶もなかったそうです。

n月-nキロンは180度。
おそらくホメオスタシスを司る天体は月なのでは、と推察します。
キロンが関わることで傷つき
人だけではなく、物、動物、虫、植物、鉱物などとも
同調が起きやすいのでは、と考えています。

同情ではなく、同調。

自分とかけ離れた存在の中にも自分の姿を観たり、
自分の一部のように感じる力です。

月-キロンとT字を組む土星が水星とミューチュアルレセプションであり、
水星-海王星とスクエア。
つらい現実を嘘や空想で乗り越えたはずで、
そのことが霊的な感受性を目覚めさせたのでしょうか。

水星-海王星のスクエアはイマジネーション豊かな人を作り
小説家、漫画家、詩人、コピーライターにも多い配置ですが
同時に学童期のいじめに関連しやすいです。

在日韓国人二世なので苛烈ないじめや差別があったそうです。
貧困家庭で育ったことも関係したかもしれません。

その後、Sさんは事業家として成功されましたが
2000年、自意識がなくなるほどの霊的なメッセージを受け取り
社会的な人生を全て犠牲にして、ご自身のルーツを辿り始めました。
MS-2000sr.gif
AP=SA太陽
海王星/冥王星=t海王星t木星tノード
太陽/月=t木星t土星tノード=SA火星
木星/冥王星=火星/土星=SA月
ASC/MC=SA天王星t木星t土星tノード
冥王星/MC=SA太陽。
ASC-DESにSAノード、SA火星。
SAキロンがMCへ到達。
T天王星がMCに0度。
12ハウスを運行するt土星が
出生図の水瓶座天体群に対して90度を形成。

2000年の頃、不動宮に天体を持つ人は大きな転換期に当たっていました。
特に水瓶座は天王星、海王星が在泊したので大変な時期でした。

Sさんの亡父は終戦前に日本の大学に医学を勉強しに来ていましたが、
在学中に終戦を迎ました。それまでの日本人としての権利が
全て無くなり、奨学金も打ち切られ、故郷からの送金も
途絶えたそうです。その後、朝鮮戦争が勃発して
故郷の家族と離れ離れになってしまった。
父親は不遇の人でした。

Sさんは全ての先祖と父方の縁者をまとめるのに12年の歳月を
費やしました。


Sさんは2000年、50歳の頃から霊的な次元を生きるようになりました。
あるとき、滝の夢を繰り返し見るように。
母親に問いただすと、幼い頃に
「この子はこのまま社会にいては育つことなく命をなくす」と言われ
とある霊山の滝の行場に祀られた不動尊に
「お不動様の子供」として授けられた経緯がありました。
今も、その滝の行場にお世話になっているそうです。

恒星のパランをチェックすると
アキュメンとファシーズがヘリアカラルライジングし、
傷つけられやすかったこと、ハードな精神修養に関連しやすいことを
意味し、ヘリアカラルセッティングではカストールがパランになっています。
カストールは蟹座20度の度数域にあり、少し離れた蟹座23度付近に
ポルックスがあります。カストールとポルックスは双子座の恒星です。
神秘学やオカルトを好むと言われ、カストールは旅行を愛します。
ポルックスは火星の働きを持つとされ、勇敢な性質を持つ反面、
暴力や事故にも関連すると考えられています。
松村先生は「トランシット占星術」でツインの発想、裏と表の二面性の活用
に関係があると述べられています。
ブレディによるとカスト-ルとポルックスの葛藤でもがいている状態は
多くの作家を育成するのだとか。
Sさんもこれからは自分自身の言葉で、同じ苦しみを持つ方への処方箋を
書くべきなのかもしれません。

「自分とは何者であるか」という思いは消えなくても、
「このように生まれた私の意味も深く受け止め、すべて意味のあることと思っている」。
今ではこの境地に到達されています。

「愛されること」(2h)
「賞賛されること」(5h)
「必要とされること」(8h)
「尊重されること」(11h)

自己価値の形成に関わるサクシーデントハウスの領域は
全て、人が自分に与えてくれるもの。
そして最初にそれを与えてくれる人は両親です。

しかし、もし本当の自分から離れすぎていたら
そのうちに苦しくなってくるでしょう。

偽りのない自分でいること、
そんな単純でささやかなことこそが
いちばんの幸せなのかもしれません。

「自分はからっぽ」
「自分はいないのと一緒」
そんな透明人間のような個性も
大切に思ってほしい。

Sさんのように社会制度に阻害されている人、
頑迷な古い価値観に苦しめられている人も
想像以上に存在するでしょう。

今の若い世代の人たちによって
少しずつ、今までとは違う尺度で
幸福や生き方を考える時代が訪れようとしています。
いろいろな価値観、さまざまな多様性の中で
生きる意味を選ぶ社会に
これから変化していくように思います。

世界のすみっこにいても、独特な活動や自分なりの能力で
世の中に参加していくことがどんどん可能になる。

だから、本来の光を放ちましょう。
「私は、ここにいる」と。































金星-海王星について [ネイタルアスペクト]

今日の14時14分が春分ですね。

金星-海王星について書いてみたいと思います。

金星-海王星と金星-土星と比較してみた場合、
金星-土星は愛情や豊かさを与えられていないと感じ、渇望感、飢餓感が出てきます。
長い間満たされてないので、欲求がどんどんグレードアップしていきます。
「ここまで待ったのだから」と理由で金星のテーマにおいて妥協ができません。
しかし満たされてしまうと今度は失うことに恐怖します。
飢えた子供がパンを与えられても、
再び飢えることを怖れて一気に食べられないのと同じです。
恋愛や対人関係で特定の失敗パターンを繰り返すことがあります。

金星-海王星を持つ人は金星の象意において
与えられたり与えられなかったりした人たちです。
叩いたりつねったりしたその手で抱きしめられる。
優しく撫でられたその手で突き飛ばされる。
信じることと裏切られること、期待と失望を繰り返します。
それ故にどんなときも変わらない愛に対して信仰に似た気持ちを抱きます。

繊細で感傷的。同情から恋愛が始まることもあります。
しかし百年の恋も冷めるといった経験をしやすいのも金星-海王星。
相手に別の恋人がいたり隠れた借金があるなど
一気に現実に引き戻される体験をしやすいのです。
あるいは友人だと信じていた人との絆が
何かをきっかけに雲散霧消してしまう。
いじめのターゲットにされるなど、こちらに何かが起きた場合、
友達だと信じていた人がよそよそしい態度をとったり
見放したりといったことを経験しがちです。
金星-海王星の人は自分に力がある、ないに関わらず相手を助けたいと思います。
優しい人柄であることが多いです。
自分の限界を省みず、人に対して多大に尽くす面があります。
たとえば溺れた子供を発見し、泳げないにも関わらず飛び込んでしまい、
自分も一緒に溺れてしまう人。
その気持ちはとても美しいですが、
泳げないのなら引っ込んでろといわれてしまう。
人に迷惑をかけがちです。

秘密の恋愛に縁が出来やすいという傾向もあります。
男性の場合は水商売の女性、同情的な境遇の女性、精神が不安定な女性、
薄幸そうな女性に愛情を感じます。
女性の場合は恋愛に対して空想ロマンを持ちます。
前世からの赤い糸やソウルメイトを信じ、
たとえ不倫の恋愛であっても神聖化します。
芸能人など、手の届かない人を好きになる傾向も。
男女ともに貞操、もしくは金銭感覚に関してルーズな傾向が本人にあるか、
身近な人がその傾向を持っていて傷つく体験をしがちです。

金星-海王星を持つ人は夢見がちでロマンティスト。
博愛精神も強いです。弱さ、儚さに共感します。
誰かを癒したり、慰めたい。
奉仕の精神を持っている人も多いです。
しかし繊細で他者との境界が曖昧なため、
自分の意思が不在になったり弱くなることも。
感情表現はセンシティブで他人が理解しにくく、
賛同を得られなかったり、ときには批判される傾向があります。
また自分を犠牲にしてギリギリの努力をしているとしても、その行為は軽視されがちです。
そして無理を言われやすい。
上手くNOが言えず、周りの人たちに搾取されているように感じることもあります。
報酬を得られなかったり、損をすることに関して、あまりこだわらないけれど
精一杯の働きや心遣いに対しての理解や感謝がないと
金星-海王星の人はとても落ち込んでしまいます。

芸術家としては合やハードアスペクトの方が突出した才能として現れます。
音楽、絵画、芸事全般、香り、料理、ダンスなど金星の表現手段として
海王星のパワーを使えるのなら、否定的な影響はかなり軽減されるでしょう。
問題はそのようなパワーのはけ口がない場合です。

今回のサンプルは金星-海王星がネガティブに出てしまったケースです。
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私の友人の弟です。とても家族思いであり、子供や動物にも優しい人だそうです。
ちょっとしたことでも傷ついてしまう線の細さを持ち合わていたとか。
悪い友人との付き合いから覚せい剤に手を染めました。
少年院、刑務所を何度も出たり入ったりしています。
刑務所から届いた手紙には
「ずっとここに居たい。もう悪いことはしたくない。真っ当に生きていきたい」と
あったそうです。しかし出所後、姉の名義でお金を借りていなくなりました。
ヤミ金でトサン(10日で3割の利子)という超高金利の借金をしたのです。
15年ほど昔の話です。そのような借金を背負わされた女の子がどういう運命をたどったか
あえてここには書きません。
出生時間が不明なのでソーラーで出しています。
彼は天秤座に水星金星冥王星火星の合を持ち、土星、海王星とともに
小トラインを形成。月の度数は特定できませんがカイトを形成する可能性。
常識の枠をはるかに超えた極限体験をしやすい配置です。
小トラインの縛りは強いのです。
彼は中毒症状に耐え切れなかったのかもしれません。
心優しい人が弱さのため、愛する人を地獄に突き落とします。
自分の痛みは辛抱できないけれど、他人の痛みはできれば想像したくない。
他者との感応力が強い金星-海王星の人が他人の痛みに同調すると
心が壊れてしまうかもしれません。
だからこそ他人の痛みは夢や幻想に包んでしまう、麻痺させる部分があるといえます。
海王星は人との境界をなくすので、
他人に尻拭いをさせる、させられるという現れ方は多いです。

二つ目のサンプルです。
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チャートの男性は金星-海王星・ヘッド・木星-冥王星-水星のレクタングルを持ちます。
N太陽はN土星との120度を持ち、
本来は真面目で常識的な人生観を持っている人です。
けれどもレクタングルという配置は
強力で止むことのない衝動と膨大なエネルギーを生み出します。

この男性は給料のほとんどをギャンブルやキャバクラなど風俗に使ってしまい、
妻の名義で内緒の借金をしたこともあるそうです。
お金や愛情に対する幻想、混乱、失望は金星-海王星の象意です。
レクタングルを形成する水星-海王星の180度の配置は
彼が嘘をつく人であることを示しています。
水星-海王星の人のつく嘘はすごくて、
どこまでが嘘でどこまでが本当かわからないことが多いです。
おそらく話している本人も現実と虚構の区別がついてないと思えます。
なので、この配置はイマジネーションを言葉にする突出した才能を現すし、
作家やクリエイターによく見られます。
直感に優れるので流行や人の気持ちを読むことが得意です。
建設的に扱うことも可能な配置ですが、ここではネガティブに出たケースを紹介します。

彼は妻が娘のために貯金していた専門学校の学費を使いこんでしまいました。
そして家族には「学費は学校に納入した」と嘘をついていました。
娘は入学できるものと疑わず、
新学期に向けて学用品を買い揃えるなど準備を進めていました。
しかし、そのような嘘はすぐにばれます。
結果的に娘は進学をあきらめて働かなければなりませんでした。

彼は納付期限内に学費を納入すれば
嘘をついたことにならないと思ったのでしょう。
ギャンブルで増やそうとしたのかもしれないし、
差し迫った返済に充ててしまったのかもしれません。
いずれにせよ何とかなるだろうと、
金策について甘い予測を立てていたのだと思います。
家族をだますつもりはなかったのでは。
娘の失望は彼にとってもつらいものでしょう。
でも信頼の回復は可能だと信じている。
彼は「やっぱり娘を進学させたいなあ」と話すのだとか。
妻は「これ以上、迷惑かけるのはよしてほしい、
自分のことだけしっかり面倒みてほしい」と話されていました。

妻は彼の「娘を進学させたい」という気持ちは、
<もし宝くじが当たったら>
<もし大金が転がり込んできたら>という
漠然とした夢から来ていて、
現実味がないことを見抜いています。

彼からすれば、この出来事で娘への愛情が否定されるのは
悲しく、納得がいかないでしょう。
彼もやはり、本当は優しい人のはずです。
どうしてこんな風になってしまったのか自分でもよくわからないでしょう。
そのつらさを慰めてくれるお酒やギャンブルとは手を切れないでしょう。
これらをしているうちは、何も考えないですみます。

金星-海王星を持っている人は同情心が強く、
「もし宝くじが当たったら(株で大儲けしたら)あの人を助けてあげたいな」
そんな風に思う人が多いのではと感じます。

マイナ-アスペクトを含めると金星-海王星のアスペクトを持つ人は多く、
たいていの人はチャートの中の金星-海王星を上手く統合し、扱えています。
サンプルさんは突出したケースを取り上げましたが、
当然、いろんなケースやドラマがあります。

このアスペクトを持つ人の経験則や、行き着いた気づきをシェアしたいと思います。
参考にしてください。

①金星は対人関係を司るので、金星-海王星のアスペクトは
 人のちょっとした言葉や態度に傷つく傾向として出る場合があります。
 なので人の輪の中に入るのが怖い人も。
 感性があまりにも違いすぎる人といることは、
 苦痛以外の何ものでもない、という経験をしがちです。
 好きな人、自然体の自分でいられる人間関係を大切にしましょう。

②金星-海王星を持つ人は他人と自分の境界があいまいなので、
 何でも自分に責任があると思い込まされがちなところがあります。
 なので許容範囲以上のことを背負いがちに。
 出来ないことにはNOという勇気を持ちましょう。
 人の期待に応えられず、結果的にアテにならない人、というレッテルを貼られます。

③金星-海王星の人は親切な人が多いです。
 しかし、<誰かのためにしてあげている>と思うことで
 感謝や見返り、評価を求める気持ちが出てきて、本人を苦しめます。
 自己満足でやっている、自分がしたくて、自分で決めてやっていると達観することで
 ずいぶんラクになるようです。優しさや愛情は注いだその人から返ってこなくても
 良いのです。めぐりめぐって他からやってきます。
 親切にしたことでバカを見たと考えるのは残念です。

④金星-海王星の人は他人の情の部分に敏感です。
 何かを決断するときに、人の情が憑依することがあります。
 買ってほしいという気持ちを強く感じて買ってしまうなど
 情や気持ちはお金とも同調するものです。
 人の期待や情に支配されるのではなく、
 自分で考え、決める力、決めたことを遂行する意志の力を
 呼び覚ましましょう。

⑤ギャンブル、薬、恋愛、お酒、占い、買い物などあらゆる依存に注意が必要。
 海王星は霊感を司るので占い師にこの配置は多いですが
 共依存の関係に陥ること、お金に関する不透明さに注意が必要です。
 

⑥何かをしてあげたいというのは思い上がりである場合もあります。
 善意の気持ちから行うことでも、ある程度の常識は必要です。 

金星-海王星の人は計算高く立ち回るということが
とても苦手です。なので損をしやすい性質であることは否めません。
でも、金星-海王星の人には人をホロリとさせる優しさがあるし、
思いがけない善意に恵まれることもあります。
人生が美しく輝くのは、そういった1コマがあるからこそです。
海王星のアスペクトが豊富な人に芸術家が多いのは、
現実を生き抜くために夢や憧れが必要なことを
身を持って知っているためかもしれません。

 











アルコール依存症のチャートについて [ネイタルアスペクト]

アルコール依存症について書いてみたいと思います。

アルコール依存症は海王星疾患です。
今日はその中でも土星ー海王星について取り上げます。
世代アスペクトですが、太陽、月、金星、水星など
パーソナルな天体との関与で特徴が現れます。
もちろん、すべてのアルコール依存症の人がこのコンビを持つわけではないですが、
サンプルは枚挙にいとまがないほどです。
「今夜、すべてのバーで」の中島らも氏
nakajimaramo.gif
アルコール依存症、薬物中毒の作家 太宰治氏
dazaiosamu.gif
筋萎縮性側索硬化症を病み、大酒飲みだった映画監督、川島雄三氏
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海外の有名人ではエリック・クラプトン90度、ジュディ・ガーラント45度、ビリー・ジョエル45度など


占星術的には、お酒だけを問題視するわけには行きません。
アルコール依存症は疎外感からくる疾患です。
孤独は平気。一人でも楽しい。
けれども、他人の冷たいまなざしが平気な人はそうはいないです。

場の空気に馴染めない。
居場所がない。
見過ごされていると感じる。
自分は必要とされていない人間なのだと感じる。
愛される価値のない人間なのだと感じる
周囲のことに関心が持てない。
自分が透明人間のように感じる。
でも、どこかに自分にふさわしい居場所があるのでは、と夢見る。
そんな自分を子どもっぽい、未成熟であると感じる

土星-海王星の影響が強い人は
異口同音にこう言います。
「ここは本当に、私の居場所なんでしょうか?」
「それともここではない、どこかなのでしょうか?」
「探し続ければ、いつかは、見つかるのでしょうか?」
「ここを抜け出せるのでしょうか?」

疎外感、自分の居場所がないと感じることはつらいことです。
その痛みを忘れるためにお酒を飲む人はやがて病んでいきます。
偉大な作家や芸術家にアルコール依存症を患う人が多いのは
その才能、感性ゆえに一般的な感覚や常識から浮いてしまうのでしょう。
お酒は感情を開放してくれます。
海王星が月や水星、金星と組むと、その人は繊細な感受性を持つことになります。
お酒に耽溺する人は同時に恋愛、文学、芸術に耽溺する人でもあります。

海王星は壁を壊し、<すべてはつながっている>ことを思い出させる天体です。
ほんの少しのアルコールで自制のガードが緩みます。
お酒によって開放される感情が疎外感という苦しいものである場合、
その人は周囲を混乱させ、傷つけます。
他者と自分の境界がなくなるので、
自分を痛めつけている人は相手を痛めつけます。
自分がいじめられていたら、自分より弱い存在をいじめてよいと思います。

<すべてはつながっている>のです。
自分を愛することが大切なのは、世界とつながっているからなのです。

土星にとって海王星という相手は汚染や混乱以外の何者でもないので
お酒や薬よるトラブルやスキャンダルで土星(経歴)は傷つきます。

アルコールや薬物だけでなく、インフルエンザなどウィルスも
海王星の守備範囲です。
友人の占星術師、登石先生も小さなお子さんがいるのですが、
「子どもの感染症はママと一緒にいたい気持ちの表れ。
だからあきらめて付き合おう」と
話してくれたことがあります。
たしかに感染症では幼稚園や保育園に通えません。
小さい子どもは母親に甘えたいときに感染症の病気になる。
病気で苦しいのは嫌だけれど、お母さんと一緒にいたい。
けれども母親は仕事(土星)を優先せざるを得なくて
病児保育室に預けるということもあります。
苦しんでいてもそばにいてもらえなかったり、
怪我をしても手当てしてもらえないようなことが
度重なると、大切にされることを渇望しながらも、あきらめるでしょう。

アルコール依存症は当人だけの問題ではありません。
<すべてはつながっている>からです。
親から子へ引き継がれます。
酔った親に殴られながら育つというような連鎖は
終わりにしなければなりません。

病気は、恐れや批判、疎外、無関心、が
表に出てくることで解消されようとする
浄化のプロセスである場合があります。
アルコール依存症、あるいはうつ病などもそうですが、
本人の心の弱さだと決め付け、批判することは、
癒しの可能性、問題解決への道を捨て去ることと同じです。

しかし現実的に立ち直るには、土星の力が必要です。
土星の力とは、<制限・分離すること>です。
相手の痛みや苦しみを受けすぎると、溺れてしまうことになります。
苦しんでいる本人同様、周囲の人にとっても救いがなくなります。
相手の苦しみを理解しつつ、それは自分の苦しみではないと認識すること、
すべてはつながっているが、同時に自立した存在であることを
忘れないようにします。この認識があってこそ、サポートが可能になります。

お酒は、本来、素晴らしいものです。
楽しい気分になれ、他人と打ち解けやすくなります。
リラックスさせてくれます。
芸術家にお酒を愛する人が多いのは
意識が解き放たれ、インスピレーションを受け取りやすく
なるからでしょう。
しかしお酒はあくまで手段なんです。
手段にのっとられてはいけません。

でもそれが難しいのが人というものなのかもしれませんね。

<制限・分離>という現実的な土星の世界と
<すべてはつながっている>という
海王星の霊的世界を両立させることは
生易しいことではないです。
境界でそれ相応の犠牲を払うことが多いからです。
現実をしっかり見据えて生きること
夢の世界を生きること、
そのどちらにも葛藤があり、
断念や自己放棄を幾度となく繰り返します。

土星-海王星の人が持つ居場所のなさ、
喪失感が癒される日がくるのかは、わからないです。
その孤独や淋しさは
自分らしさそのもので
実は手放したくないものなのかもしれません。

土星-海王星90度を持つ浜崎あゆみは
自らの心の傷を作詞し、歌っています。
同じ時代を生きる一人、一人の
心の傷と共振したから、
これほどまでに支持されているのでしょう。


自殺した人、自殺した人を身内に持つ人に
土星-海王星が太陽、月と関わる配置を
散見します。
アルコール依存症と自殺は占星術的に
どちらも土星-海王星です。
お酒や薬の力を借りることで、
あちらの世界へ行くことがずっと容易くなります。

土星-海王星は<暗殺>も意味します。
孤独と疎外感、社会的抑圧の中で
ひっそりと死んでいく無数の人たちは
もはや自殺ではなく、黙殺された人たち、
暗殺された人たちともとれます。

子どもの頃、毎日のように酔った父親に折檻され、
学校でもいじめに遭っていて
家にも学校にも、どこにも行くところがないと感じていた人は、
「そうだ、死ねばいいんだ」
そう閃いた瞬間、目の前の景色が突然、輝きだしたそうです。
本当にすべてのものがキラキラ光り輝いて見えたのだとか。
結局、死ねなかったそうですが、
その輝いた世界は息を呑むほど
美しかったそうです。

死を怖れたり、忌み嫌うのは土星からの視点です。
土星の視点は<分離・制限>。
海王星がマレフィックであるという解釈は
土星の立場から見て、やっかいだということです。
海王星の視点は<すべてはつながっている>です。

理想はどちらの視点も獲得することでしょうか。

ミヒャエル・エンデ作の「はてしない物語」という本があります。
物語の世界に入ってしまう少年のお話なのですが、
装丁が素晴らしく、物語の中に出てくる本と同じ荘厳さを持っています。
大きく、分厚く、二色刷りで、赤く輝くクロスが張ってあります。
子どもが読めるようになったら、私が薦めるのではなく
自分で見つけ出して手にとってもらいたい本です。
私自身も薄暗い学校の図書室で引き寄せられたように
手に取りました。

占星術的に解釈すると現実世界(土星)に居場所がなかった主人公が
本を入り口にしてファンタージエン(海王星)の世界に入り込んで冒険し、
現実世界(土星)に戻ってくるお話です。
癒しと再生を経て成長し、こちら側に戻ってきます。

「絶対にファンタージエンにいけない人間もいる。
いけるけれども、そのまま向こうにいきっきりになってしまう
人間もいる。それから、ファンタージエンにいって、またもどってくるものも
いくらかいるんだな、きみのようにね。そして、そういう人たちが、
両方の世界を健やかにするんだ。」

「ファンタージエンへの入り口はいくらでもあるんだよ、きみ。
そういう魔法の本は、もっともっとある。
それに気がつかない人が多いんだ。
つまり、そういう本を手にして読む人しだいなんだ。」

「ファンタージエンにいってもどってくるのは、本だけじゃなくて、
もっとほかのことでもできるんだ。
きみも、やがて気がつくだろうがね。」

土星-海王星は
生きづらさを感じさせる配置です。
もともと土星の枠組みからはずれがちな分、
別の世界に居場所を見出す人であるといえます。

行って、そして戻ってきてください。
入り口は、お酒だけではありません。






はてしない物語

はてしない物語

  • 作者: ミヒャエル・エンデ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/06/07
  • メディア: 単行本



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